'39

'39 (サーティナイン)

「'39」（サーティナイン）は、イギリスのロックバンド、クイーンが1975年に発表したアルバム『オペラ座の夜』に収録された楽曲です。この曲は、ブライアン・メイが作詞作曲を手掛け、彼自身がリードボーカルを務めています。アルバム発売後には、シングル『マイ・ベスト・フレンド』のB面曲としてもリリースされました。

ギターワールド誌による「偉大なる12弦ギターソング」のランキングでは、24位に選出されるなど、高い評価を受けています。

曲の構成と歌詞

歌詞は、宇宙旅行に出かけた男が主人公の物語です。彼にとっての1年間は、地球時間では100年にも相当するという設定で、相対性理論を彷彿とさせる内容となっています。男が地球に帰還すると、子供や孫が成長していましたが、最愛の妻はすでに亡くなっていました。この切ない物語が、楽曲の深みを増しています。

音楽的な特徴としては、ベーシストのジョン・ディーコンがダブルベースを演奏している点が挙げられます。これは、ブライアン・メイがジョークとしてディーコンに依頼したもので、楽曲に独特の響きを与えています。その他、12弦アコースティックギター、エレクトリックギター、バスドラム、タンバリンが使用されており、アコースティック調のアレンジが施されています。しかし、曲の後半では、重厚なコーラスワークが展開され、聴きごたえのある構成となっています。

ライブでの演奏

「'39」は、1970年代のクイーンのライブで頻繁に演奏された楽曲です。初めて演奏されたのは1976年9月のエディンバラ公演で、その後、1979年12月まで、ほぼ全てのセットリストに組み込まれていました。

ガーディアン誌は、この曲のライブパフォーマンスを「騒々しく、そして滑らかなシーシャンティ」と評しています。ライブ音源は、ライブアルバム『ライヴ・キラーズ』に収録されており、当時の熱狂的なライブの雰囲気を味わうことができます。

特筆すべきは、ライブでのリードボーカルがブライアン・メイではなく、フレディ・マーキュリーが務めている点です。さらに、歌詞もスタジオ音源とは一部異なっており、ライブならではのアレンジが施されています。

1980年代以降は、ライブで演奏される機会は少なくなりましたが、1984年のライデン公演では、即興的なコールアンドレスポンスの一部として演奏されたことがあります。1992年4月には、フレディ・マーキュリー追悼コンサートで、ジョージ・マイケルを迎えて演奏されました。近年では、クイーン+アダム・ランバートのツアー（2012年、2014年、2015年、2020年、2022年）でも演奏されています。

映画での登場

2018年に公開されたクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、日本公演でこの曲を演奏するシーンが撮影されました。しかし、劇場公開時にはカットされ、幻のシーンとなっています。その映像は、映画の元監督ブライアン・シンガーのInstagramで公開されていましたが、現在は非公開となっています。

演奏者

ブライアン・メイ - リードボーカル、バッキングボーカル、12弦アコースティックギター（オベーション Pacemaker 1615）、エレクトリックギター
フレディ・マーキュリー - バッキングボーカル
ロジャー・テイラー - バスドラム、タンバリン、バッキングボーカル
ジョン・ディーコン - ダブルベース

関連事項

時間の遅れ

外部リンク

Lyrics at Queen official website - ウェイバックマシン（2015年6月10日アーカイブ分）

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