あぶくま型護衛艦

あぶくま型護衛艦

あぶくま型護衛艦（英名: Abukuma-class destroyer escort）は、日本の海上自衛隊に所属する護衛艦の一つです。この艦級は、沿岸海域での防衛任務に特化しており、1986年度から1990年度にかけて計6隻が建造されました。その中で、最初の艦の建造にかかる費用は約250億円とされています。2022年12月の防衛力整備計画により、2027年度末までに全艦が除籍されることが明らかになりました。

来歴

この艦級の背景には、海上自衛隊における防衛力整備の歴史があります。いすず型やちくご型といった先行する護衛艦の運用実績から、日本の海域に適したDE型護衛艦の建造が求められました。1983年度、600トン級のDE設計がスタートし、最終的にあぶくま型が確立されました。特に、Operational YQ-5改級の戦術情報処理装置を導入し、さらなる運用能力向上を図っています。

設計

あぶくま型の基本計画番号はE114であり、船体は比較的従来型護衛艦に近い形状を持っています。船体デザインには、ステルス性能の導入がなされ、その結果レーダー反射面積の削減にも寄与しています。乗員の居住性の向上にも配慮されており、これまでの3段ベッドから2段ベッドへと変更がなされています。居住スペースの改善により排水量は増加し、最終的に2200トン以上となりました。

機関性能

主機関にはCODOG方式が採用され、ロールス・ロイス・川崎製のガスタービンエンジンと、ディーゼルエンジンを組み合わせて高速運転を実現しています。最高速度は27ノットであり、海上自衛隊の他の護衛艦と同等の能力を有します。

装備

あぶくま型護衛艦は、搭載するセンサーや武器システムも進化しています。初期型では、OPS-14CおよびOPS-28Cのレーダーを搭載し、後期型ではさらに拡張されたOPS-20航海レーダーも装備されています。また、防空能力の向上を目指して、RAM近接防空ミサイルを後日装備予定である点が特徴です。

対艦・対潜能力

艦の武器システムは、62口径76mm単装速射砲やハープーン艦対艦ミサイルを含むもので、総体的にははつゆき型と類似した機能を発揮します。特に対潜戦能力においては、アスロック対潜ミサイルを搭載することにより、深海での任務にも対応するよう設計されています。また、324mmの短魚雷発射管を装備し、近距離の敵潜水艦標的に対抗する能力を備えています。

運用の歴史

1980年代から1990年代にかけての建造後も、あぶくま型護衛艦は日本の海上防衛の要として活躍し続けました。しかし、近年は護衛隊の構成が変化し、2027年に全艦除籍が決定されたことで、その役割は次世代の護衛艦に引き継がれることとなるでしょう。これに伴い、艦の老朽化を防ぐための部品調達や改修計画も策定されています。

以降、数々の艦艇が実戦配備され、海上自衛隊の迅速な対応能力向上に寄与してきたあぶくま型護衛艦ですが、終焉を迎える日が近づいています。しかし、この艦級が築いた歴史は、今後の護衛艦建造計画においても大きな教訓となるでしょう。

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