いすゞ・ジャーニー

いすゞ・ジャーニー：マイクロバスの歴史と変遷

いすゞ自動車が1959年から2021年まで販売していたマイクロバスおよび中型路線バス「ジャーニー」。その長い歴史は、自社生産から日産自動車（日産車体）によるOEM供給への移行という変遷をたどりました。車名の由来は英語の「長期の旅行」を意味する“journey”です。

ジャーニーの概要

当初は自社生産で一定のシェアを誇っていたものの、販売不振により自社生産から撤退。末期には日産自動車のシビリアンのOEM供給を受ける形となりました。ラインナップはシビリアンとほぼ共通で、TB45E型直列6気筒ガソリンエンジン1種類が設定されていました。

車体は、自社生産時代には川崎航空機（後の川重車体工業、アイ・ケイ・コーチ）で架装されていましたが、日産シビリアンのOEMとなってからは日産車体（特装車はオートワークス京都）が担当しました。

車種一覧

ジャーニーS (KA5B系)*：1970年発表の15人乗りマイクロバス。エルフと共通の前面を持ち、1959年の初代、1964年の2代目エルフマイクロバス（TL-B系）からモデルチェンジ。1981年にいすゞ・ファーゴバスにバトンタッチ。
ジャーニーE (NPR系)：西日本車体工業製「プレビス」ボディを5代目エルフに架装したマイクロバス。
ジャーニーM / L (BL/BE系)：20〜29人乗り。川崎航空機→アイ・ケイ・コーチ製ボディ。
ジャーニーQ (MR/GR系)：29人以上の中型（4t）トラック、フォワードベースのバス。
ジャーニーK (LR系)：29人以上のリアエンジンバス。
ジャーニーJ (RX系)：元は日野・リエッセのOEM供給車。最終的には統合モデルとしてジェイ・バスから日野・いすゞへ供給。
ジャーニー (W40/41系)：ジャーニーM / Lの後継。日産・シビリアンのOEM供給車。

歴史

前史

1959年：初代エルフTL151B / 251Bマイクロバス（15人乗り小型バス）がクラス初のディーゼル車として発売。エルフのキャブを流用し、運転席・助手席にはエルフ同様の後ヒンジドアを装備。後にジャーニーSとなる。1961年には目黒車体が架装した後ろヒンジのキャブドア無し、全長5.1m・17人乗り・行き先表示付き左中央1扉の路線仕様も存在。
1960年：エルフのコンポーネンツを用いた川崎航空機製ボディの21人乗りモデル、いすゞライトバスBL171 / BL271型が登場。渡辺自動車製ボディも追加。
1967年：フルモデルチェンジ。25人乗りのBLD20型が登場。当初はいすゞスーパーライトバスという車名であった。
1972年：29人乗りのBE20型を追加。このシリーズは後のジャーニーLとなる。

ジャーニーM / ジャーニーL

1973年3月：ジャーニーM（BL系：エルフ250ベース26人乗り）、ジャーニーL（BE系：エルフ350ベース29人乗り）として販売開始。エンジンはエルフと同じ直列4気筒 2.8L 渦流室式ディーゼル 85馬力、3.6L 渦流室式ディーゼル 100馬力。トランスミッションは5速MTのみ。
1977年頃：フロントエンブレムがフロントグリル上の「ISUZU」からグリル内の2代目社章に変更。
1980年2月：マイナーチェンジ。ウインカーの位置やインテークの個数、いすゞエンブレムの位置が変更。ハイルーフ車も設定。ジャーニーLに搭載の3.6L ディーゼルが昭和54年排出ガス規制で3.9L 110馬力に変更。ジャーニーMは2.8L ディーゼルで昭和54年排出ガス規制に適合。サブエンジン式から機関直結式冷房装置に変更し室内空間を拡大。
1983年7月：ジャーニーMのエンジンを3.3L 直接噴射式ディーゼル 100馬力に変更。全車が昭和58年排出ガス規制適合。バックミラーはオーバル型からスクエア型に大型化。
1986年：生産工場が川重からいすゞとの合弁会社アイ・ケイ・コーチ（後のいすゞバス製造、現在のジェイ・バス宇都宮事業所）へ移管。
1987年3月：ヘッドライトを角形4灯に変更。デビュー以来初めてフロントグリルが大幅に変更。固定窓を装備し、シートピッチを拡大した最上級グレードのカスタムが登場。
1990年8月：平成元年排出ガス規制適合。エンジンを4.3Lにアップ。ダッシュボード回りを4代目エルフと同様のものに変更。商品性で他社に遅れをとり、販売台数は減少。このモデルは韓国のセハン自動車(現・大宇バス)でもライセンス生産された。

ジャーニー

上記ジャーニーM / ジャーニーLをモデルチェンジし、ジャーニーとして発売。販売台数の減少や設計の旧態化、主要コンポーネントを共用するエルフのモデルチェンジに伴い自社開発を中止し、日産・シビリアン（2代目・中期型）のOEMとなる。

初代（1993-1999年）

1993年8月：モデルチェンジ発表。
1995年8月：マイナーチェンジ。平成6年排出ガス規制適合、フロントデザインを変更。エンジンはターボ付のTD42T型を追加。AT車も追加。

2代目（1999年-2021年）

1999年2月：モデルチェンジ。引き続き、日産・シビリアン（3代目）のOEM。
2004年11月：マイナーチェンジ。ベースのシビリアンがディーゼルエンジンを三菱ふそうトラック・バスからのOEMに変更したため、いすゞのジャーニーはガソリンエンジンのみとなる。
2008年6月：一部改良。新長期排出ガス規制（平成17年排出ガス規制）に適合し、ZD30DDTiエンジンの追加によりディーゼルエンジン車が4年ぶりに復活。
2010年7月：マイナーチェンジ。ディーゼル車が消え、再度ガソリンエンジンのみとなる。
2011年8月: 日野自動車が開発を担当するジャーニーJが製造中止となったことで、いすゞにおける小型自家用・観光系はジャーニーがカバーすることになる。
2012年7月: 新保安基準に適合。客席に3点式シートベルトを採用。一部グレードに電動リモコンミラーを標準装備。「アラウンドビューモニター」をオプション設定。固定窓式の最上級グレード車を廃止。
2021年2月：販売終了。いすゞ自動車からマイクロバスが完全に消滅（OEM元の日産・シビリアンも生産終了）。

脚注

注釈

出典

関連項目

マイクロバス
いすゞ自動車
いすゞ・エルフ
いすゞ・ファーゴ
いすゞ・コモ
日産・シビリアン
日野・リエッセ

外部リンク

* ISUZU:JOURNEY

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