けんちゃんバス

けんちゃんバス：地域を繋ぐ愛称バスの詳細

けんちゃんバスは、丸建つばさ交通が埼玉県上尾市を中心に運行している地域密着型の乗合バスです。その親しみやすい名称は、かつての運行事業者であった丸建自動車の社長、本村建二氏に由来します。自治体主導のコミュニティバスとは異なり、一般路線バスとして自社運行されている点が特徴です。

概要

丸建自動車は、以前から特定輸送や上尾市内循環バス「ぐるっとくん」の運行を受託していました。2003年8月18日、上尾駅東口から埼玉県道150号上尾蓮田線を経由し、既存の路線バスやコミュニティバスがカバーしていなかった伊奈町の埼玉県立がんセンター、丸山駅、蓮田駅西口間、そして上尾駅西口と桶川駅西口間に新たな路線を開設しました（現在の2 - 5系統、現在は廃止）。

上尾駅東口 - 蓮田駅西口間は約8kmと比較的短い距離ながら、均一運賃制を採用。上尾駅周辺では、旧東武バスの路線を継承した朝日自動車菖蒲営業所・東武バスウエスト上尾営業所の路線と競合していましたが、両社の運行と合わせて通勤時間帯には高頻度の運行が実現していました。

しかし、利用状況に応じて路線の見直しも行われました。2008年3月11日には利用者の少ない2系統と5系統が廃止され、2009年4月30日には3系統・4系統・10系統が廃止されました。また、運賃についても、2009年5月11日に大人150円から170円、小学生以下80円から90円に、2011年5月23日には大人190円、小学生以下100円に値上げ。2014年4月1日の消費税率改定に伴い、大人200円、小学生以下100円となりました。

2010年2月11日には、北上尾駅 - 伊奈学園間の新規路線が開業しましたが、上尾駅 - 伊奈学園間で競合する朝日自動車菖蒲営業所が区間運賃制の上限を170円に設定する対抗策を実施。これを受け、けんちゃんバスは2012年4月1日付で同路線を廃止しました。また、2005年頃には、東武バスが多頻度運行していた上尾駅西口と西上尾第一団地間を循環する路線を開設した際にも、東武バスが同様の循環路線を開設し、けんちゃんバスが路線廃止に追い込まれるという状況が発生しました。

2011年9月1日には、蓮田駅西口 - 県民活動センター間、北本駅東口を起点とする北本東口循環の2系統が新たに運行を開始しました。

2018年3月1日には、大宮駅西口循環線（大成先回り）が開業し、さいたま市にも路線を拡大。アルシェと大宮駅西口DOMショッピングセンター間の市道上に設置された大宮駅西口バス停を起点に、鉄道博物館前、大成3丁目、日進町1丁目、大平公園前を経由して大宮駅西口へと運行されました。2019年2月12日には、大宮駅西口循環線（大成先回り）の市営駐車場前 - 鉄道博物館前間に桜木町3丁目バス停が新設され、埼玉新都市交通伊奈線（ニューシャトル）との並行区間である大宮駅西口 - 鉄道博物館前間の運賃が100円に設定されました。

2019年4月1日には、開業が遅れていた与野循環線が、大宮駅西口循環線（与野本町先回り）として運行を開始。大成先回りと同様の停留所から、上落合、イオンモール与野、与野本町西5丁目、いずみ高校を経由して大宮駅西口へと運行されました。また、大宮駅西口では大成先回りと与野本町先回りの乗継割引が開始されました。

2021年2月16日以降は、丸建自動車の経営破綻に伴い、事業を譲受した丸建つばさ交通が運行を引き継いでいます。2022年7月1日には、新路線として白岡中央病院線（蓮田駅西口 - 白岡中央総合病院、東伸団地 - 白岡中央総合病院）が運行を開始。2023年8月9日には、蓮田・上尾 - 伊奈病院線（蓮田駅西口 - 伊奈病院線、上尾駅東口 - 伊奈病院線）が運行を開始しました。しかし、2024年1月30日には大宮駅西口循環（与野本町先回り）が、2024年3月13日には東伸団地 - 白岡中央総合病院が運行を終了しました。

運賃・乗車券類

全路線200円均一、小学生以下100円、未就学児は無料です（2014年4月1日より）。大宮駅西口循環線（大成先回り）の大宮駅西口 - 鉄道博物館前間は100円、小学生以下50円の割引運賃が適用されます。

回数券は17枚で3,000円で、バス車内または丸建つばさ交通本社で購入できます。旧額面の回数券は、現行運賃との差額を支払うことで引き続き利用可能です。

定期乗車券（けんちゃんバスフリーパス）は学生（通学用）・65歳以上の方専用で、一日乗車券は発行されていません。

2023年4月24日以降、WAONの電子マネー決済が導入されました（回数券購入可能・ポイント付与あり）。上尾駅東口〈薬科大経由〉蓮田駅西口線では乗車・降車時に、その他の路線では降車時にリーダライターにタッチします。モバイルWAONも利用できますが、けんちゃんバスではカードの販売等は行わないため、事前にチャージなどの準備が必要です。

PASMO・Suicaなどの交通系ICカードはこれまで導入されていませんでしたが、2024年6月17日に上尾駅東口〈薬科大経由〉蓮田駅西口線で、24日からは全路線で利用可能になりました（Pitapaは利用不可）。均一200円運賃のみ決済可能で、割引運賃（小人・障害者）は利用できません。

かつてはバス共通カードも利用対象外でした。

大宮駅西口循環線の大成先回りと、廃止された与野本町先回りを大宮駅西口で乗り継ぐ場合は、100円（小学生以下50円）割引されていました。

現行路線

大宮地区

大宮駅西口循環（大成先回り）
大宮駅西口 → 鉄道博物館 → 大成3丁目 → 自衛隊入口 → 西上小町 → 大宮駅西口
日曜・祝日運休（2024年7月21日より）。

上尾・桶川・蓮田・伊奈地区

上尾駅東口 - 蓮田駅西口（日本薬科大学経由）
7系統：上尾駅東口 - 上尾市文化センター前 - 日本薬科大学前 - 志久駅 - 栄6丁目北 - 蓮田駅西口
（区間便）上尾駅東口 - 上尾市文化センター前 - 日本薬科大学前 - 志久駅 - 田里・丸建つばさ交通本社
（区間便）田里・丸建つばさ交通本社 - 栄6丁目北 - 蓮田駅西口
かつては11系統：上尾市文化センター前（丸建車庫前）- 日本薬科大学前 - 蓮田駅西口の区間便がありました。
蓮田駅西口 - がんセンター（日本薬科大学経由）
蓮田駅西口 - 栄6丁目北 - 志久駅 - 日本薬科大学前 - がんセンター
土曜・日曜・祝日運休。
蓮田駅西口 - 国際学院高校入口間は7系統と同経路。
上尾駅東口 - 蓮田駅西口（がんセンター経由）
5系統：上尾駅東口 - がんセンター - 丸山駅 - 蓮田駅西口
平日1往復のみ運行。当初は6系統。
蓮田駅西口 - がんセンター（丸山駅経由）
22系統：がんセンター - 丸山駅 - 蓮田駅西口
5系統の区間便。平日のみ運行。
蓮田駅西口 - 県民活動センター
14系統：蓮田駅西口 - 栄6丁目北 - 田里・丸建つばさ交通本社 -（一心館）- 伊奈学園 - 県民活動センター
一心館は平日の一部便のみ経由。
蓮田駅西口 - 栄6丁目北間は7及び11系統と同経路。
桶川駅東口 - 伊奈学園（2017年4月17日運行開始）
2系統：桶川駅東口 - 内宿駅 - 県民活動センター - 伊奈学園
日曜・祝日運休。
上尾駅東口 - 伊奈病院（2023年8月9日運行開始）
上尾駅東口 - 上尾市文化センター前 - ラウンドワン上尾店 - 伊奈病院
土曜・日曜・祝日運休（土曜運休は2024年7月20日より）。
上尾駅東口 - 上尾中央看護専門学校間は7系統と同経路。
蓮田駅西口 - 伊奈病院（2023年8月9日運行開始）
90系統：蓮田駅西口 - 志久南 - 志久駅 - 伊奈病院
92系統：蓮田駅西口 - 丸山駅 - 志久駅 - 伊奈病院
94系統：蓮田駅西口 - 丸山駅 - がんセンター - 志久駅 - 伊奈病院
土曜・日曜・祝日運休（土曜運休は2024年7月20日より）。
上尾駅東口 - 県立武道館・アイスアリーナ
直行便。土曜・日曜・祝日に運行するほか、イベント開催時に臨時運行することがあります。
【臨時】上尾駅東口 - 上尾市民球場
イベント開催時のみ運行。

北本地区

北本東口循環
15・16系統：始発から12時台はグリコ工場先回り、14時台から最終まで二ツ家先回り
東間・深井循環（北本駅東口発着）
19・20系統：始発から13時台は宮内先回り、14時台から最終まで東間先回り
北本駅西口 - 南団地・二ツ家 - 北本駅東口
21系統：南団地南・北本温泉経由（北本駅西口発の最終は北本温泉止まり）

蓮田・白岡地区

白岡中央病院線（2022年7月1日運行開始）
蓮田駅西口 - 白岡西3丁目 - 白岡駅西口 - 白岡中央総合病院
（区間便）蓮田駅西口 - 白岡西3丁目
日曜・祝日運休（2024年7月21日より）。

廃止路線

2008年3月11日廃止
2系統 春日・朝日経由線（上尾駅西口 - 桶川駅西口）
5系統 緑丘・西門前先回り線（上尾東口循環右回り）
2009年4月30日廃止
3系統 小泉・泉台経由線（上尾駅西口 - 桶川駅西口）
4系統 二ツ宮・平塚団地先回り線（上尾東口循環左回り）
10系統 蓮田駅西口 - 伊奈町役場線
2012年4月1日廃止
12系統　北上尾駅東口 - 伊奈学園線（内宿駅経由）
2012年4月30日廃止
8系統 向山・日産先回り線（上尾西口循環右回り）
9系統 今泉・第一団地先回り線（上尾西口循環左回り）
2024年1月30日運行終了
大宮駅西口循環 与野本町先回り
2024年3月13日運行終了
東伸団地 - 白岡中央総合病院

車両

けんちゃんバスでは、UDトラックス（旧:日産ディーゼル）、三菱ふそう、いすゞ自動車、日野自動車の車両が用いられており、国産4メーカーの車両が採用されています。7m小型車が主力ですが、輸送力増強のため、数台ではあるものの9m中型車と10.5m中型長尺車も導入されています。方向幕は全てLED式行先表示器を装備しています。

かつてはCNG車も在籍していましたが、呉市交通局に売却されました。

マイクロバス改造車以外は原則ノンステップバスで車椅子の乗降に対応しており、マイクロバス改造車は後部にある車椅子用リフトで対応しています。ただし、通常使用する車両の検査時やイベント開催時の臨時路線に使用する予備車はステップのある旧型で、車椅子の乗降には対応していません。予備車は塗色が異なり行先表示機も未使用のため区別が可能です。

丸建つばさ交通が譲受してから導入された車両は、白色をベースにバラのマークの入った、母体のつばさ観光バスの車両に準じたデザインとなり、在籍車もデザインが変更されています。丸建自動車時代の車両は、全体が緑色で黄色のラインが入っており、車体の前後には口を大きく開けた子供のような顔に「KEN」と入ったけんちゃんバスのマークが付いていました。このマークはかつてけんちゃんバスのバス停の標識にも使われていました。

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