とかげ座

とかげ座 (Lacerta)

とかげ座は、現代の88星座のうちの1つで、17世紀末にポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスにより創作されました。この星座は、トカゲをモチーフとしており、非常に目立たない星々で構成されています。全ての星が4等星以下の明るさであり、しばしば見逃されてしまう星座でもあります。

位置と特徴

とかげ座は、東にアンドロメダ座、北東にカシオペヤ座、北にケフェウス座、西にはくちょう座、南にペガスス座という他の星座に囲まれています。また、北半分は天の川の一部であり、20時に正中する時間は10月下旬頃です。北半球では夏と秋の星座として観察され、通年で北の空に存在します。しかし、その位置は北端が+56.92°、南端が+35.17°で、南半球の中緯度地域からはその全貌を観察することが難しく、南極圏では見ることができません。逆に北極圏では、全ての星が周極星として観察されます。

歴史と由来

とかげ座は、ヘヴェリウスがトカゲの図を描き、「Lacerta」または「Stellio」と名付けたことが始まりです。彼の死後、1690年に妻によって発表された著書にこの星座が記載されました。Stellio は後に使われなくなり、Lacerta の名前だけが残りました。アメリカのリチャード・ヒンクリー・アレンは、1925年に「Stellio」について言及しましたが、実際には地中海沿岸に生息する爬虫類、ステリオアガマ (Lacerta stellio) に由来しています。

1725年にはイギリスの天文学者ジョン・フラムスティードが、ケフェウス座の一部をとかげ座に追加してその領域を拡大しました。その後、1922年に国際天文学連合 (IAU) によって88の星座の1つとして正式に認定され、Lacerta と略称されました。実際、ヘヴェリウスより以前にもこの領域にはオギュスタン・ロワーエが独自の星座を設けたことがありますが、支持は薄く18世紀中葉には消えてしまいました。

中国での位置づけ

清朝の文献では、とかげ座の星々は二十八宿の一部として位置づけられ、一部の星は農具や戦車を表す星官に配されました。特に、星々の光は北方玄武七宿の「危宿」と「室宿」に関連付けられました。

神話と物語

新しい星座であるため、とかげ座には特に伝承や神話は存在していません。これは星座が比較的最近に命名されたものであり、他の古い星座のような文化的背景が欠けているためです。

呼称と辞書記録

日本では、明治末期に「蜥蜴」と訳されることがありましたが、現在は「とかげ」と定まっています。この名称は1952年に正式に使用されるようになり以降、星座名としてずっと使われています。

主な天体

1936年にはとかげ座とケフェウス座の間の境界近くで「五味新星」として知られる新星が日本人によって初めて発見されました。この星座には、見かけの明るさが11等級の恒星HAT-P-40もあり、リトアニアに名付けられた星です。また、古典新星として名を馳せた「五味新星」は、白色矮星と赤色矮星の連星系であると考えられています。

このように、とかげ座は比較的新しい星座でありながら、さまざまな地域や時代での研究と観察を通じて、天文学的にも興味深いポイントを多く持っています。

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