にっぽん実話時代

『にっぽん実話時代』：週刊誌ブームと不正を暴く編集長たちの物語

1963年、東宝が製作・配給した映画『にっぽん実話時代』は、週刊誌ブームを背景に、経済誌が実話誌へと転身し、巨大コンツェルンの不正を暴くまでの騒動を描いた痛快な社会派作品です。福田純監督によるカラー作品で、上映時間は83分。東宝スコープの迫力ある映像で、当時の社会情勢や世相を反映した描写が魅力となっています。

あらすじ：経済誌から実話誌へ、そして不正との闘い

物語は、売上不振に悩む経済マガジン社から始まります。社長は、台頭する週刊誌ブームに乗り、低俗誌と揶揄される「実話時代」という週刊誌の創刊を決断。社名も「実話時代社」へと変更し、元新聞記者の伊達康介を高島忠夫が演じる、編集長に迎え入れます。

当初は乗り気ではなかった編集部員たちも、取材を重ねるうちに、次第に仕事にのめり込んでいきます。しかし、その取材を通じて、巨大コンツェルンの不正行為が明らかになり、編集長である伊達は、社内、そして社長と対立しながらも、真実を追及する姿勢を貫きます。この過程で、伊達を取り巻く様々な人間模様や、社会の闇が浮き彫りになっていきます。

豪華キャストとスタッフ陣

本作には、高島忠夫演じる伊達康介をはじめ、池内淳子、浜美枝など、当時を代表する人気俳優たちが多数出演しています。脇を固める個性豊かな俳優陣の演技も見どころの一つです。

スタッフ陣も、福田純監督をはじめ、脚本に松木ひろし、撮影に小泉福造、音楽に黛敏郎、美術に竹中和雄など、日本映画界を代表する実力者たちが集結しています。彼らの高い技術と才能によって、当時の社会状況をリアルに、かつドラマチックに表現することに成功しています。

社会派エンターテイメントとしての魅力

『にっぽん実話時代』は、単なる娯楽作品ではありません。週刊誌ブームという社会現象を背景に、正義と不正、真実と虚偽といったテーマを深く掘り下げています。巨大な権力に立ち向かう編集長たちの姿は、観る者に勇気と感動を与え、現代社会にも通じる普遍的なテーマを提示していると言えるでしょう。

また、個性豊かな登場人物たちのドラマや、テンポの良い展開も魅力の一つです。終始緊張感とユーモアが交錯し、飽きさせない展開が続きます。

作品情報

タイトル: にっぽん実話時代
公開年: 1963年（昭和38年）
製作・配給: 東宝
監督: 福田純
* 出演: 高島忠夫、池内淳子、浜美枝、藤木悠、ミッキー・カーチス、田中邦衛、有島一郎、平田昭彦、田崎潤、若林映子、中真千子、浦島千歌子、南弘子、安川実、当銀長太郎、土屋嘉男、中島そのみ、中北千枝子、東郷晴子、千石規子、沢村いき雄、織田政雄、松村達雄、村上冬樹、清水元、田武謙三、大村千吉、小川安三、宇野晃司、石田茂樹、大木正司、広瀬正一、荒木保夫、三木敏彦、久野征四郎、岡豊、関田裕、緒方燐作など

『にっぽん実話時代』は、日本の映画史において重要な作品の一つとして、高く評価されています。社会派エンターテイメントとして、そして時代劇的な痛快さを持つ作品として、多くの観客を魅了し続けています。

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