ひとかけらの純情 (アルバム)

ひとかけらの純情（アルバム）

『ひとかけらの純情』は、日本の歌手、南沙織によって1974年2月21日にリリースされた、通算8枚目となるスタジオ・アルバムです。発売元はCBS・ソニー（現：ソニー・ミュージックレーベルズ）でした。

このアルバムは、当時のLP帯に「若い涙 ひとつふたつ 今はいい… ヤングのテーマでつづるオリジナル プラス ポップス特集!」というコピーが記されていたことからもわかるように、大きく二つのパートで構成されています。

アルバムの構成

アルバムのA面（収録曲の1曲目から6曲目）は、すべて書き下ろしのオリジナル楽曲で占められています。これらの楽曲は、南沙織の代表的なヒット曲を数多く手がけた有馬三恵子氏が作詞を、そして日本歌謡界を代表する作曲家の一人である筒美京平氏が作曲と編曲を担当しています。特に、通算10枚目のシングルとして先行リリースされた表題曲「ひとかけらの純情」とそのカップリング曲である「透き通る夕暮れ」が、このオリジナルパートに収められています。その他のオリジナル楽曲として、「音楽会場にて」「いとしい傷」「涙のひとつふたつ」「殉愛」が収録されています。

一方、アルバムのB面（7曲目から12曲目）は、全6曲が洋楽ポップスのカバー楽曲で構成されています。特筆すべきは、これらのカバー曲がすべて、オリジナル曲の英語詞そのままに歌われている点です。編曲は、水谷公生氏と矢野誠氏が共同で手掛けています。収録されているカバー曲は、当時のヒット曲や名曲が選ばれており、カーペンターズの代表曲「TOP OF THE WORLD」をはじめ、ドン・マクリーン「AND I LOVE YOU SO」、ザ・スウィーパーズ「HARLEM SONG」、ブレッド「AUBREY」、シェール「HALF-BREED」、そしてロバータ・フラックのグラミー賞受賞曲「やさしく歌って（KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG）」などが収められています。南沙織がこれらの洋楽を英語で歌唱するスタイルは、当時の日本の歌謡曲としては比較的新しい試みであり、彼女の音楽的な幅広さを示すものと言えるでしょう。

リリース履歴と現在の入手状況

『ひとかけらの純情』は、当初1974年2月21日にLPレコードとして発売されました。その後、CD時代になり、1997年7月21日には「CD選書」シリーズの一つとして初めてCD化されています。さらに、2006年6月14日には、より高音質を目指したマスターサウンド盤が、紙ジャケット仕様のCD-BOXの一部としてリリースされました。

しかしながら、現在ではCDパッケージとしての生産は終了しており、新品を店頭で購入することは難しい状況です。現在の主な入手方法は、音楽配信サービスを通じての購入となります。デジタルフォーマットで、この名盤を楽しむことが可能です。

このアルバムは、1974年という時代の空気感を映し出しつつ、南沙織の多様な音楽性を提示した作品として、今なお多くのファンに親しまれています。彼女が活躍した1970年代前半、天地真理、小柳ルミ子と共に「新三人娘」と呼ばれ、絶大な人気を誇っていた時期にリリースされた重要作の一つと言えるでしょう。

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