まむしの兄弟 (1997年の映画)

現代に蘇る任侠の世界：映画『まむしの兄弟』（1997年版）

1997年に公開された映画『まむしの兄弟』は、1970年代に一世を風靡した東映ヤクザ映画シリーズのリメイク作品です。往年の名作を現代風にアレンジした本作は、時代背景や音楽、演出に新たな息吹を吹き込みつつ、任侠映画特有の侠義や抗争といった要素を巧みに織り交ぜています。

物語の中心となるのは、刑期を終えて出所したヤクザの兄貴、ゴロ政（柳葉敏郎）です。出所後、彼はかつての弟分である勝次（中村繁之）と再会します。服役中に、ある男から託された写真と祝儀袋。その写真には幼い少女が写っており、祝儀袋には結婚式用の金が入っていました。

ゴロ政は写真に写る少女の結婚式場へと祝儀を届けることに。そこで待っていたのは、美しい女性、美夏（葉月里緒菜）でした。しかし、彼女はただの女性ではなく、横浜仙崎組の女組長という立場でした。

美夏は台湾マフィア「ヘブン」の侵攻に苦しんでおり、ゴロ政と勝次、通称「まむし兄弟」は、彼女を助けるべく、壮絶な抗争に身を投じることになります。

本作の特徴として、劇伴音楽にヒップホップが使用されている点が挙げられます。伝統的な任侠映画のイメージとは異なる音楽の選択は、現代的な感覚を取り入れつつ、物語に独特な雰囲気を醸し出しています。

また、ローバー・美々のヌードシーンも話題を呼びました。これまでセクシー路線を歩んできた彼女ですが、本作では監督の村川透氏からの提案を受け、ヌードに挑戦。後年、日刊ゲンダイのインタビューでこの経緯を明かしています。彼女の演技は、作品に新たな魅力と深みを与えています。

キャスト陣も豪華です。ゴロ政と勝次以外にも、美夏の父親の弟分を演じる明石家さんまの友情出演も見どころの一つ。他にも、岡崎二朗、夏木マリ、藤竜也など、ベテラン俳優たちが脇を固め、作品全体を支えています。

『まむしの兄弟』（1997年版）は、往年の任侠映画へのオマージュと現代的な解釈が見事に融合した作品です。伝統的な任侠の世界観と現代社会のギャップ、そして登場人物たちの葛藤や友情が、観客の心を揺さぶります。音楽、演出、そしてキャストの熱演が織りなす、新たな『まむしの兄弟』の世界をぜひご覧ください。

主なキャスト

まむしのゴロ政：柳葉敏郎
美夏：葉月里緒菜
勝次：中村繁之
蘭子：岡本夏生
ケン：金子賢
ナツメ：松田未羽
前島五郎：四方堂亘
仙崎勝之助：明石家さんま（友情出演）
コブラ：KORN
大阪万城組若頭：岡崎二朗
大阪万城組組長：夏木マリ
美夏の父親：藤竜也
その他：夏樹まりあ、吉岡ちひろ、ローバー・美々、岩崎静子、村上ショージ、須藤正裕、松田勝、梅津栄、関根大学、武智健二、渥美博、山口粧太、小山弘訓

スタッフ

企画：俊藤浩滋、高田宏治
プロデューサー：瀬戸恒雄、伊東雅子
製作者：山田朋子
監督：村川透
脚本・原案：高田宏治
撮影：緒方博
音楽：クレイジー・A
主題歌：ブラザー・コーン「ITSUMO」
挿入歌：矢野明「心の荒野」
技斗：佐々木修平
音響効果：佐々木英世（東洋音響）
スタント&アクション：FCプラン、ジャパンアクションクラブ
ガンエフェクト：BIGSHOT
カースタント：カースタントTAKA
現像：東映化学
MA：東京テレビセンター
スタジオ：東映東京撮影所
* 製作：ジャパンアート

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