よこはま新港合同庁舎

よこはま新港合同庁舎について

横浜市中区新港に位置する「よこはま新港合同庁舎」は、国土交通省や横浜税関など15の官公署が入居する地方合同庁舎です。みなとみらい地区の再開発プロジェクトの一環として、複数の老朽化した庁舎を集約し、業務効率の向上と市民サービスの拡充を目指して建設されました。この庁舎は、単なる行政機関の集合体ではなく、地域に開かれた施設としての役割も担っています。

建設までの経緯

この合同庁舎が建設された場所は、かつて横浜税関新港分関と横浜第一港湾合同庁舎があった場所です。これらの既存庁舎に加え、横浜市内に分散していた複数の官公署の老朽化とスペース不足が深刻化しており、集約の必要性が高まっていました。そこで、財務省が2008年度にまとめた計画で、この地への移転集約が提案されました。

当初の計画では、2015年度までに10階建ての合同庁舎を建設する予定でしたが、リーマン・ショックや東日本大震災の影響で計画は大幅に遅延。その後、2016年12月に2022年度の完成を目指す新たな計画が発表され、最終的には7階建ての合同庁舎として建設されることになりました。入居する官署も当初16官署が予定されていましたが、最終的には15官署となっています。

2018年4月に入札が開始され、同年12月には戸田建設を代表とするグループが事業者（PFI：BTO方式）として選定されました。このグループは後に特別目的会社「ヨコハマしんこうパートナーズ」を設立しました。再開発に向けて2019年6月から既存建物の解体工事が始まりましたが、2020年2月には敷地内から埋蔵文化財が発見され、発掘調査のために一時的に事業計画が廃止されました。しかし、工期への影響は最小限に抑えられ、2020年9月に工事が再開。2021年2月に本格着工し、2023年3月末に無事竣工を迎えました。

入居官署

よこはま新港合同庁舎には、以下の15官署が入居しています。

横浜税関（通関、保税窓口等）
東京国税不服審判所横浜支所
横浜中税務署
横浜公共職業安定所（ハローワーク横浜）
横浜地方検察庁分室（特別刑事部）・横浜区検察庁分室
横浜保護観察所
東京出入国在留管理局横浜支局横浜港分室
横浜検疫所
植物防疫所研修センター
総務省関東管区行政評価局関係
神奈川行政評価事務所
経済産業省関東経済産業局関係
横浜通商事務所
国土交通省関東地方整備局関係
横浜国道事務所
京浜港湾事務所
横浜営繕事務所
東京湾海上交通センター（内港信号所）

特に、京浜港湾事務所は横浜市の要望により、みなとみらい地区の59街区から2023年9月に移転しました。また、横浜第二港湾合同庁舎や横浜地方合同庁舎からも多くの官署が移転しています。

施設の特徴

この合同庁舎は、機能性だけでなく、市民にも開かれた空間となるよう配慮されています。敷地内には広場が設けられ、建物内を貫く動線が確保されています。また、水際線プロムナード沿いの2階には、憩いの空間として「しんこうデッキ」が整備されており、市民が気軽に利用できます。

テナントとしては、以下の施設が併設されています。

ファミリーマート（コンビニ/駐車場棟1階）: 2023年7月にオープン。建物内1階南玄関付近にはサテライト店もあります。
よこはま新港合同庁舎 食堂（1階）: 2023年8月にグランドオープン。南玄関付近にあり、一般の方も利用可能です。

内港信号所の移設

中区海岸通にあった横浜第二港湾合同庁舎の解体に伴い、2023年12月には京浜港横浜区の内港信号所が当庁舎の屋上へ移設されました。

遺構の展示

合同庁舎の建設前の発掘調査で、敷地内から旧発電所のレンガ基礎や物揚場の石積が発見されました。これらの遺構は、北側の歩道沿いと南側の水際線プロムナードに面した外構に展示されており、歴史を感じることができます。

アクセス

みなとみらい線「馬車道駅」から徒歩5分（4番：横浜ハンマーヘッド・万国橋口）と、公共交通機関でのアクセスも良好です。

まとめ

よこはま新港合同庁舎は、単なる行政施設としての機能だけでなく、地域社会に開かれた多機能な施設として、市民生活に貢献しています。歴史的な背景や遺構の展示、テナントの充実など、様々な角度から楽しめる場所です。

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