アイアンクロー

アイアン・クロー（Iron Claw）

アイアン・クローは、プロレス技の一種で、正式にはブレーン・クロー（Brain Claw）と呼ばれています。別名、脳天締め（のうてんじめ）や鉄の爪（てつのつめ）とも呼ばれるこの技は、相手の顔面を掌全体で掴み、指先の握力で締め上げることでダメージを与え、ギブアップを狙う攻撃です。さらに寝ている相手に対してこの技をかけた状態でピンフォールを奪うこともあります。

技の概要

このアイアン・クローは、フリッツ・フォン・エリックが必殺技として使用したことで知られており、彼が独自に名付けた「アイアン・クロー」という名称が一般的に広まりました。他のレスラーがこの技を使用するときは「ブレーン・クロー」とも呼ばれることがありますが、フリッツの名が強い印象を与えているため、他選手による使用でも「アイアン・クロー」と認識されやすいです。

フリッツ・フォン・エリックの息子たち、ケビン、デビッド、ケリー、マイクもこの技を愛用しており、中でもケリーは未開封の缶ビールを握り潰すパフォーマンスを披露しました。また、次の世代であるケビンの息子ロスやマーシャル、ケリーの娘レイシーもこの技を継承しています。

他にも、キラー・カール・クラップやバロン・フォン・ラシク、ブラックジャック・マリガン、ドン・ジャーディンなど、多くのレスラーがこの技を使用してきました。後年にはクルガンやブル・ブキャナンなどがアイアン・クローをセットで使うようになりました。日本では中西学がこの技でギブアップ勝ちを収めたことが知られています。

応用性とバリエーション

アイアン・クローの見た目は相手の前頭部を掴むというシンプルさがあるため、実際の適用方法は多彩です。例えば、仰向けにダウンした相手に仕掛けたり、ロープに振って帰ってきた際のカウンターとして使ったり、相手の背後から後頭部に向かって攻撃を仕掛けることも可能です。さらに、リングの外にいる相手にも一矢報いたり、アイアン・クローの体勢から直接フォールを奪うこともできるため、多彩な戦略の一環として使用されています。

アイアン・クローに示される技術の幅は、時に相手の体の一部分を掴むことで逃れようとする場面も見られ、また、試合中の様々な技へのカウンターとして機能することが強調されています。バロン・フォン・ラシクは、全日本プロレスのオープン選手権でドリー・ファンク・ジュニアとの素晴らしいシーンを作り上げました。

他のクロー系技

プロレスにおける「クロー」や「クロー・ホールド」とは、体の特定の部位を掴んで締め上げる技を指します。アイアン・クローと同様に、特定の部位を狙い撃つ技は多岐に渡ります。

例えば、ストマック・クローは腹部を掴む技で、主にキラー・コワルスキーやデューク・ケオムカが用いていました。また、ショルダー・クローは肩や頚動脈を締め上げる技で、日系ヒールレスラーやスコット・ノートンが使用します。

コブラ・クローは喉を直接絞める技で、タイガー・ジェット・シンが特徴づけました。また、男性レスラーの股間に仕掛ける男色クローや、気管を絞めるスロート・クローなども存在し、それぞれ異なるコンセプトのもとに技が発展しています。

派生技の多様性

アイアン・クローは、その状態から様々な技へ派生することがあります。たとえば、アイアン・クロー・スラムは、クローを掛けたまま相手を持ち上げ、チョークスラムのように叩きつける技です。ダイナマイト関西やバイソン・スミスがこの技を駆使しました。

また、アイアン・バスターや葉隠IIといった技、バイソン・ボムなど、アイアン・クローを基盤としたさまざまなバリエーションがあります。こうした技は、レスラーの独自性や試合の多様性を生み出し、観る者を魅了し続けています。

結論

アイアン・クローは、シンプルではありながら多彩な戦略を生み出すことができるプロレス技です。その歴史と進化、さらに派生技の数々は、プロレスというエンターテインメントの深さを物語っています。

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