デューク・ケオムカ

デューク・ケオムカ：日系プロレスラーの先駆者

デューク・ケオムカ（Duke Keomuka）は、1921年4月22日にカリフォルニア州サクラメントで生まれた日系アメリカ人プロレスラーです。本名はマーティン・ヒサオ・タナカ（Martin Hisao Tanaka）、日本名は田中久雄（たなか ひさお）です。彼は、新日本プロレスに留学したパット・タナカの父親としても知られています。

アメリカ南部での活躍

ケオムカは、テキサスやフロリダなどアメリカ南部を主戦場に活躍しました。同時代の日系レスラーと同様に、戦後の反日感情を逆手に取ったヒールとして人気を博しましたが、キャリア後半にはベビーフェイスとしても活動しました。その実力と人柄から、アントニオ猪木やグレート草津など、海外修行時代の日本人選手のタッグパートナー兼メンターとしても活躍し、日本陣営の助っ人として日本プロレスにも度々参戦しました。

多彩なキャリア

1944年にデューク・カパラニ（Duke Kapalani）としてデビュー後、ジョージア、インディアナ、ニューヨークなど各地を転戦しました。その後、デューク・ケオムカに改名し、1948年8月8日にはハワイでNWAハワイ・ヘビー級王座を獲得しました。1950年代からは、ダラスやヒューストンなどテキサスの東部地区を拠点に、NWAテキサス・ヘビー級王座および同タッグ王座を再三奪取しました。また、ルー・テーズが保持していたNWA世界ヘビー級王座にも度々挑戦しています。

1960年代前半には、オハイオおよびテキサスでフリッツ・フォン・エリックと抗争を繰り広げ、フォン・エリックのアイアン・クロー対ケオムカのオリエンタル・クローという「クロー対決」で観客を魅了しました。1963年からはフロリダに参戦し、ヒロ・マツダとのタッグで活躍。当初はヒールとして、アルベルト&ラモンのトーレス兄弟やジェイク・スミス&ルーク・ブラウンのザ・ケンタッキアンズなどと対戦していましたが、後にベビーフェイスに転向し、スカル・マーフィー&ブルート・バーナードやフレッド・ブラッシー&ターザン・タイラーなどのチームを破り、NWA世界タッグ王座を4度獲得しました。1964年12月25日には、マイアミビーチでブルーノ・サンマルチノのWWWF世界ヘビー級王座に挑戦しています。

1965年には古巣のテキサスに戻り、アメリカ修行中だったアントニオ猪木とタッグを組み、同地区版のNWA世界タッグ王座を獲得しました。この王座は、フォン・エリック&キラー・カール・コックスから奪取したとされていましたが、記録には残っていません。

日本との繋がり

1966年5月、ケオムカは日本プロレスに初参戦しました。日本陣営の一員としてジャイアント馬場ともタッグを組み、1967年と1968年のワールドリーグ戦には「日系代表」として出場しました。ブッカーとして外国人選手の招聘窓口も担当し、馬場が旗揚げした全日本プロレスにも協力しました。

引退後

1970年代前半に現役を引退したケオムカは、エディ・グラハムが主宰していたチャンピオンシップ・レスリング・フロム・フロリダ（CWF）のブッカーに専念し、NWA屈指の黄金テリトリーとなったフロリダ地区の隆盛を支えました。面倒見が良いことでも知られ、マサ斎藤、高千穂明久、ミスター・ヒト、桜田一男、キラー・カーン、そして海外再修行時代の天龍源一郎など、アメリカで活動する多くの日本人選手を支援しました。また、新日本プロレスを逃げ出してカール・ゴッチを訪ねるためにフロリダに渡ったものの、ゴッチに会えず途方に暮れていたリッキー・フジを自宅に迎え、アメリカンプロレスに開眼させたというエピソードも残っています。

1985年にグラハムが死去すると、ケオムカはヒロ・マツダと共に団体の運営を引き継ぎましたが、WWFの全米侵攻やNWA内部におけるテリトリー制の崩壊などにより観客動員が落ち込み、1987年2月にCWFはジム・クロケット・プロモーションズに吸収合併されました。

1991年6月30日、デューク・ケオムカは70歳で生涯を閉じました。

得意技

オリエンタル・クロー（ストマック・クロー）
カラテ・チョップ
カラテ・キック
レッグ・ドロップ

獲得タイトル

NWAハワイ・ヘビー級王座：1回
NWAテキサス・ヘビー級王座：5回
NWAテキサス・タッグ王座：14回
NWA世界タッグ王座（テキサス東部版）：6回
NWA南部タッグ王座（ミッドアトランティック版）：2回
NWA世界タッグ王座（フロリダ版）：4回

デューク・ケオムカは、日系プロレスラーとしてアメリカと日本を繋ぎ、多くのレスラーに影響を与えた偉大な人物でした。

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