キラー・カール・クラップ

キラー・カール・クラップ：ナチス・ギミックレスラーの波乱万丈な生涯

キラー・カール・クラップ（本名：ジョージ・モンバーグ、1934年5月13日 - 1995年8月24日）は、オランダ出身のプロレスラーです。リングネームからは西ドイツ出身を思わせるかもしれませんが、実際はオランダ人で、ナチス・ドイツをモチーフとした悪役レスラーとして世界中で活躍しました。

カナダ、アメリカでの活躍

1957年、西ドイツでプロレスデビュー。その後、カナダへと渡り、トロントのメープル・リーフ・レスリングを拠点に、アート・トーマスやロッキー・ジョンソンといった当時のスター選手たちと対戦します。1971年にはカルガリーのスタンピード・レスリングでナチス・ギミックの「カール・クラップ」として活動を始めます。クルト・フォン・ヘスとのタッグなど、様々なレスラーとの対戦を通じて、北米ヘビー級王座を獲得するなど、着実にキャリアを積み重ねました。

アメリカ本土進出後はNWFやアマリロ地区で活躍し、ロード・アルフレッド・ヘイズ、テリー・ファンクらと抗争を繰り広げました。テキサス・ブラスナックル王座を獲得するなど、その実力を証明したクラップは、若手時代のスタン・ハンセンをも破っています。オレゴンではクルト・フォン・スタイガーとタッグを組み、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座を獲得するなど、各地で成功を収めました。フロリダではダスティ・ローデス、アブドーラ・ザ・ブッチャーらとも対戦、インディアナポリスではWWA世界タッグ王座に挑戦するなど、アメリカ各地を転戦し、多くの強豪たちとしのぎを削りました。1970年代後半はテキサスを主戦場に、フォン・エリック・ファミリーやアンドレ・ザ・ジャイアントらとも対戦。1978年にはハーリー・レイスのNWA世界ヘビー級王座に挑戦するなど、トップレスラーとしての実力を示しました。その後も、テネシーのCWA、プエルトリコのWWC、ニュージーランドなど、世界各地で活躍を続けました。1980年代半ばにはカナダに定着し、アトランティック・グランプリ・レスリングで活動を続けました。

日本での活躍と独特の人物像

日本においても、クラップは大きな足跡を残しています。1973年に日本プロレスに初来日し、ジョニー・バレンタインとのタッグでインターナショナル・タッグ王座を獲得。さらに、フリッツ・フォン・エリックとのタッグでも同王座を獲得するなど、日本プロレス末期の混乱期において、数少ない外国人レスラーとしてタイトルを獲得しました。また、日本プロレス最後のタイトルマッチに挑戦者となったことも記憶に残る出来事です。

新[[日本プロレス]]のワールドリーグ戦にも2年連続で参加し、アントニオ猪木から勝利を収めるなど、その存在感を示しました。2年連続準優勝という結果を残し、初期の新[[日本プロレス]]において重要な役割を担ったと言えるでしょう。

しかし、クラップは粗暴で無愛想な性格でも知られており、日本での巡業中には様々な逸話が残されています。旅館で料理を「豚のエサ」と罵るなど、破天荒なエピソードは、ミスター高橋の著書にも記されている通りです。国際プロレスにも参戦し、ラッシャー木村のIWA世界ヘビー級王座、IWA世界タッグ王座に挑戦するなど、日本のプロレスシーンに多大な影響を与えました。全[[日本プロレス]]にも参戦しましたが、ここではやや精彩を欠いたと評されています。

得意技と獲得タイトル

クラップの得意技は「ブロンズ・クロー」で、フリッツ・フォン・エリックの「アイアン・クロー」に対抗する技として知られていました。その他にも、ビッグブートなど強力な打撃技を武器としていました。

彼の獲得タイトルは数多く、日本プロレスのインターナショナル・タッグ王座（2回）、ESA北米ヘビー級王座（3回）、NWAパシフィック・ノースウエスト・タッグ王座（1回）、NWAテキサス・ブラスナックル王座（2回）、AWA南部タッグ王座（1回）など、数々の王座に輝いています。

1995年、心臓麻痺のため61歳で死去。悪役レスラーとしての強烈な個性、そして世界各地で活躍したそのキャリアは、プロレス史に永遠に刻まれることでしょう。

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