アッケルマン条約

アッケルマン条約（1826年）

アッケルマン条約は、1826年10月7日にロシア帝国とオスマン帝国の間で締結された条約です。この条約は、現在のウクライナ、オデッサ州に位置するアッケルマン城（現在のビルホロド＝ドニストロフスキー市）で調印されました。

条約の概要

アッケルマン条約は、1812年に締結されたブカレスト条約の内容をより明確化することを目的としていました。条約の主な内容は以下の通りです。

ワラキア公国およびモルダヴィア公国: ロシア帝国とオスマン帝国の共同宗主権下に置かれ、両国が領主の選出に影響力を持つこと。領主の任期は7年と定められました。また、ギリシャ人のファナリオティスが排除され、ルーマニア人の貴族（ボィエール）が公に就任することになりました。
オスマン軍の撤退: 1821年のトゥドル・ウラジミレスクの蜂起後、ワラキアとモルダヴィアに長期駐留していたオスマン軍が撤退することになりました。
ドナウ川の支配権: オスマン帝国は、ドナウ川の川港都市であるジュルジュ、ブライラ、トゥルヌ・マグレレの支配権をワラキア公国に譲渡することに同意しました。
行政と商業: 行政規定の作成と2年間の貢納停止、イスタンブールによる商業独占の廃止が決定されました。
セルビア問題: 第二次セルビア蜂起後のセルビア公国の自治権が認められ、1813年に失った領土が返還されました。セルビア人はオスマン帝国内の通行権も獲得しました。

条約の意義と影響

アッケルマン条約は、バルカン半島における勢力均衡に大きな影響を与えました。ロシア帝国の影響力が増大し、オスマン帝国の支配力が低下する兆候が見られました。しかし、オスマン帝国のスルタン、マフムト2世は後にこの条約を破棄し、それが1828年の露土戦争の引き金となりました。

アッケルマン条約は、その後のバルカン半島の国家形成、特にルーマニアとセルビアの自治拡大において重要な役割を果たしました。条約の内容は、両国の政治、経済、社会に大きな変化をもたらし、独立への道を切り開く一歩となりました。

関連項目

ギリシャ独立戦争

参考文献

Jelavich, Charles The Establishment of the Balkan National States, 1804-1920, University of Washington Press, 1986. ISBN 0295964138.（英語）
ジョルジュ・カステラン 著、萩原直 訳『ルーマニア史』白水社、1993年。ISBN 4-560-05747-8。
* スティーヴン・クリソルド著 田中一生・柴宜弘・高田敏明共訳『増補版ユーゴスラヴィア史ケンブリッジ版』恒文社、1993年。ISBN 4-7704-0371-2。

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