アドリアン・アドニス

アドリアン・アドニス（本名：キース・A・フランケ）は、1953年生まれのアメリカ人プロレスラーです。彼は、そのキャリアを通じて、AWAとWWFの両方で世界タッグ王座を獲得するなど、ヒール（悪役）としてトップ選手に登り詰めました。1980年代前半には、新日本プロレスの常連外国人選手として、日本のファンにもその名を知られています。

若手時代の活躍

アドニスは、アマチュアレスリングとアメリカンフットボールで実績を積んだ後、ジャイアント馬場やタイガー・ジェット・シンの師匠であるフレッド・アトキンスの指導を受け、1974年にプロレスラーとしての道を歩み始めました。デビュー当初は、本名をもじったキース・フランクスというリングネームでベビーフェイス（善玉）として活動。WWWF（現WWE）やNWAの各地区で経験を積みました。

1977年には、NWAハリウッド・レスリングに進出し、金髪のヒールとして売り出されました。ハーリー・レイスの持つNWA世界ヘビー級王座に挑戦したり、NWAアメリカス・ヘビー級王座を奪取するなど、着実に実績を重ねました。ロディ・パイパーとのタッグでNWAアメリカス・タッグ王座も獲得し、ミル・マスカラスやアンドレ・ザ・ジャイアントといった強豪とも対戦しました。

AWAでのブレイク

1979年からはAWAに参戦し、ジェシー・ベンチュラとのタッグチーム、イースト・ウエスト・コネクションを結成。これが大当たりし、1980年にはAWA世界タッグ王座を獲得しました。バーン・ガニアやディック・ザ・ブルーザーといった強豪を相手に、約1年間タイトルを保持しました。

WWFでの成功と変貌

1981年末には、ベンチュラと共にWWFに移籍。リック・マーテルやチーフ・ジェイ・ストロンボーなどの人気チームと対戦しましたが、当時はミスター・サイトー&ミスター・フジがタッグ王座を保持していたため、それぞれシングルプレイヤーとして活動しました。アドニスは、ボブ・バックランドのWWFヘビー級王座に挑戦する機会も得ました。

1982年からは新日本プロレスにも参戦し、黒革のジャケットを身につけたスタイルから「暴走狼」のニックネームで親しまれました。ボブ・オートン・ジュニアとの「マンハッタン・コンビ」は、ハイジャック攻撃という連携技で日本のファンを魅了しました。オートンの離脱後は、ディック・マードックとのタッグでアントニオ猪木や藤波辰巳と激闘を繰り広げました。

1984年には、マードックとのノース・サウス・コネクションでWWF世界タッグ王座を獲得。しかし、その後は薬物依存と過食症に苦しみ、体型が大きく変わってしまいます。

マードックの離脱後、アドニスはゲイボーイ・ギミックの"アドラブル"アドリアン・アドニスに変身。ロディ・パイパーとの抗争や、ボブ・オートンとの再タッグなどを行いましたが、かつての面影はありませんでした。

晩年と突然の死

1987年にWWFを退団後、リハビリ施設に入所。その後、AWAで活動を再開しましたが、1988年7月4日、カナダでの自動車事故により34歳の若さでこの世を去りました。

アドリアン・アドニスは、その短い生涯の中で、プロレス界に大きな足跡を残しました。ヒールとしての卓越した才能、記憶に残るタッグチーム、そして衝撃的な変貌は、今もなお多くのファンの間で語り継がれています。

得意技

グッドナイト・アイリーン
アドラブル・ドッグ
マンハッタン・ドロップ
ダイビング・エルボー・ドロップ

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