ボブ・オートン・ジュニア

カウボーイ・ボブ・オートン：反骨のレスラー人生

カウボーイ・ボブ・オートン（本名：ロバート・キース・オートン・ジュニア）は、1950年11月10日生まれのアメリカ合衆国出身のプロレスラーである。その名を知らないプロレスファンは少ないだろう。類まれなレスリング技術と、荒々しいファイトスタイルで知られた彼は、NWAやWWF（現WWE）で活躍し、数々のタイトルを獲得した。さらに、WWE殿堂入りを果たしただけでなく、息子であるランディ・オートンもプロレスラーとして活躍しているレスリング一家としても有名だ。

華麗なるキャリアの始まりと挫折

若き日のオートンは、ヒロ・マツダやジャック・ブリスコらといった名レスラーからトレーニングを受け、1972年にNWAフロリダ地区でデビュー。その後、NWAジョージア地区に移籍し、ベビーフェイスとして活動を開始する。しかし、彼の持ち前の反骨精神と強靭な意志は、やがてヒールへの転向を促す。ベビーフェイス時代から培った高度なレスリング技術に、ヒールらしい荒々しさと喧嘩っ早さを加えた独自のファイトスタイルは、瞬く間に彼のトレードマークとなった。

NWAジョージア地区では、ディック・スレーターとタッグを組み、NWAジョージア・タッグ王座を獲得。NWAフロリダ地区では、NWAフロリダ・ヘビー級王座にも輝き、NWA世界ヘビー級王座にも挑戦するなど、トップレスラーとしての地位を確立していく。

しかし、彼のキャリアは常に成功のみに彩られていたわけではない。持ち前の反骨精神や、私生活における喧嘩っ早さといった問題行動が足を引っ張り、何度もビッグタイトル獲得のチャンスを逃すこととなる。特に世界ヘビー級王座獲得には、最後まで手が届かなかった。それでも、彼の才能を高く評価するレスラー仲間や関係者、そして玄人筋のファンは少なくなかった。

タッグチームでの活躍とWWFへの参戦

ボブ・ループとのタッグチームは、NWA南部タッグ戦線を席巻。さらに、アラバマでは覆面レスラー「ジ・インベーダー」として活動し、タッグ王座を奪取するなど、その活躍は多岐にわたった。AWAにも参戦し、ブラックジャック・ランザとタッグを組み、AWA世界タッグ王座にも挑戦している。

1982年、オートンはグラン・ウィザードをマネージャーに迎え、WWFに参戦。リングネームを「カウボーイ・ボブ・オートン」に定着させ、ボブ・バックランドやアンドレ・ザ・ジャイアントといったトップレスラーと対戦する。インターコンチネンタル・ヘビー級王座にも幾度となく挑戦したが、これもまた獲得には至らなかった。

WWFでのヒールユニットとレッスルマニアでの活躍

1984年にはWWFと再契約。ロディ・パイパー、ポール・オーンドーフとヒールユニットを結成し、ハルク・ホーガン率いるベビーフェイス陣営と激しく対立した。このユニットでの活動は、オートンをWWFにおけるトップヒールとして確固たる地位を築き上げることに成功する。左腕にギプスを装着し、凶器として使用することも多く、その凶悪なファイトスタイルは観客を魅了した。

特に、レッスルマニア1でのハルク・ホーガン＆ミスターT対ロディ・パイパー＆ポール・オーンドーフ戦では、セコンドとして参加したオートンのギプス攻撃が試合を決定づける一因となった。しかし、この出来事をきっかけにオーンドーフとは袂を分かち、その後もパイパーのボディーガードとして活動するなど、WWFの重要な一員として活躍し続けた。

WWF退団後のキャリアと日本での活躍

1987年、WWFを退団後も、各地のインディー団体で活躍。ジム・コルネットが主宰するSMWや、シカゴのAWF、カリフォルニアのUWFなど、数々の団体を渡り歩き、そのキャリアはさらに広がっていく。

日本においても、オートンは大きな足跡を残した。1975年には全日本プロレスに初来日し、『チャンピオン・カーニバル』に参加。1982年には新日本プロレスに参戦し、アドリアン・アドニスとのタッグチーム「マンハッタン・コンビ」を結成。コーナーポストを使ったハイジャック攻撃は、後の新日本のタッグ戦線に大きな影響を与えるなど、プロレス界全体に影響を与えた。

また、SWSにも参戦し、外国人エースとして活躍する。その後も、NOWやIGFなどの団体に参戦するなど、彼のプロレス人生は長きに渡って続いた。

晩年とWWE殿堂入り

2005年、息子のランディ・オートンがWWEで活躍するようになると、オートンはランディのマネージャーとしてWWEに復帰。レッスルマニア21にも出場するなど、再びスポットライトを浴びる。しかし、2006年にはWWEを解雇される。

その後も、WWEのイベントにゲストとして登場したり、息子の試合に絡んだりするなど、プロレス界との関わりを継続。2005年にはWWE殿堂入りを果たしている。

独特のファイトスタイルと数々のタイトル

オートンのファイトスタイルは、高度なレスリング技術と、荒々しく喧嘩腰なファイトが絶妙に混ざり合った、独特のスタイルであった。得意技であるスーパープレックスやスパイク・パイルドライバー、そして凶器ギプス攻撃は、彼の代名詞と言えるだろう。

彼のキャリアは、数々のタイトル獲得に彩られている。NWAジョージア・ジュニアヘビー級王座、NWAフロリダ・ヘビー級王座、NWA世界タッグ王座（ミッドアトランティック版）、そして、様々なインディー団体のタイトルを獲得している。

カウボーイ・ボブ・オートン。彼は、常に成功と挫折を繰り返しながらも、自身の信念を貫き通した、まさに反骨のレスラーだったと言えるだろう。

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