アニマンタルクス

アニマンタルクス：生きた要塞と称されたノドサウルス科の装甲恐竜

アニマンタルクス（Animantarx ramaljonesi）は、白亜紀後期（約1億600万 - 9700万年前）の北アメリカ西部に生息していた、ノドサウルス科に属する草食性の曲竜類です。属名はラテン語の「animatus（生きている）」と「arx（要塞）」を組み合わせたもので、「生きた要塞」という意味を持ちます。これは、全身を装甲で覆われたその外観に由来し、古生物学者リチャード・スワン・ルルが「生命を与えられた要塞のようだ」と評したことにちなんでいます。

発見と特徴

アニマンタルクスの化石は、アメリカ合衆国ユタ州東部のシーダーマウンテン累層Mussentuchit部層から、これまでに1つだけ発見されています。この標本には、下顎、頭骨の後部、頸椎、胴椎、そして四肢の骨が含まれています。頭骨の長さは約25cm、体長は3mに満たない程度と推定されています。

アニマンタルクスは、他のノドサウルス類と同様に、四足歩行でゆっくりと移動する草食動物でした。全身は装甲に覆われていましたが、尾に棍棒はありませんでした。頭部後方のドーム状の構造、眼窩後骨と方形頬骨の上にある小さな角、そして下顎骨の半分ほどの長さを覆う装甲など、独自の特徴を持っています。

化石が発見されたMussentuchit部層からは、魚類、カエル、トカゲ、ヘビ、ワニ、恐竜、鳥類など、少なくとも80種類の脊椎動物の化石が見つかっています。この地層は、氾濫原のような環境であったと考えられています。

発見の経緯

興味深いことに、アニマンタルクスの化石は、放射線探査中に発見されました。化石が発掘された場所で、Ramal Jones が高レベルの放射能を検知したのです。この地域で発見される化石は、わずかに放射性を帯びていることがよくあります。表面には何も露出していませんでしたが、発掘調査の結果、アニマンタルクスの化石が発見されました。

分類

アニマンタルクスの科内での正確な位置づけは不明確ですが、一般的にはノドサウルス科に分類されています。丸い上眼窩突起とノブ状の肩峰突起を持つことから、ノドサウルス科のincertae sedis（所属未定）として扱われることがあります。しかし、2つの異なる研究では、ノドサウルス科内でエドモントニアと姉妹群であるとされています。

アニマンタルクスは、その独特な外観と発見の経緯から、古生物学の世界で注目を集めている恐竜の一つです。シーダーマウンテン累層では、他にも多くのノドサウルス類の化石が発見されており、今後の研究によって、アニマンタルクスの進化や生態について、さらに詳しいことが明らかになることが期待されます。

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