アフガニスタンの鉄道

アフガニスタンの鉄道：歴史、現状、そして未来



アフガニスタンの鉄道は、その歴史的な経緯と地理的条件から、未だに発展途上にあるインフラです。19世紀に計画が持ち上がったものの、実際に鉄道が敷設されたのは20世紀に入ってからでした。現在では、近隣諸国との接続を強化し、経済発展を支えるための鉄道網整備が進められています。

歴史



アフガニスタンにおける最初の鉄道は、1920年代に首都カーブルで建設された軌間762mmのトラムでした。アマーヌッラー・ハーンがドイツから購入した蒸気機関車が使用され、カーブルとダルラマン宮殿間の約7kmを結んでいましたが、後に廃止されました。この蒸気機関車は現在、カーブル博物館に保存されています。

1950年代には、カーブル東部のスロビに建設された水力発電所に、軌間600mmのディーゼル機関車が導入されました。また、1970年代には、鉱山や建設現場向けに、同じく軌間600mmのディーゼル機関車が輸入されましたが、これらの機関車の現状は不明です。

軌間



アフガニスタンの鉄道の大きな課題の一つが、採用されている軌間の多様性です。周辺国との接続を考えると、軌間の統一は重要です。

  • - 1520mm（広軌）: これは、旧ソ連圏で多く採用されている軌間であり、アフガニスタンの北部国境に近い地域で採用されています。現在、アフガニスタン国内の鉄道路線は、この広軌を採用しています。
  • - 1435mm（標準軌）: イランや中国で採用されている軌間であり、2010年にアフガニスタンは将来的な鉄道網の標準軌としてこの軌間を採用するとしました。
  • - 1676mm（広軌）: パキスタンで採用されている軌間であり、アフガニスタンの南東国境に近い地域で採用されています。

軌間の違いは、乗り換えや貨物の積み替えを必要とし、鉄道輸送の効率を低下させる要因となります。そのため、今後の鉄道網の拡張においては、標準軌である1435mmへの統一が重要な課題です。

鉄道駅



2024年現在、アフガニスタンには旅客サービスを提供する駅は存在しません。鉄道は主に貨物輸送に利用されています。

アフガニスタン鉄道公社



アフガニスタン政府は、鉄道網の整備を推進するために、鉄道建設委員会を設立しました。この委員会は、国内の鉄道網の建設と、近隣諸国との接続を監督する役割を担っています。また、アジア開発銀行は、アフガニスタン鉄道公社への資金拠出を承認し、鉄道網の発展を支援しています。

現在の鉄道と将来計画



アフガニスタンの鉄道網は、現在、いくつかの主要な路線によって構成されています。また、新たな路線建設の計画も進められています。

ウズベキスタンとの鉄道連絡


1980年代初頭にソ連が建設した、ウズベキスタンのテルメズからアフガニスタンのハイラタンまでの約15kmの路線が、現在も稼働しています。2010年には、この路線をさらに約75km延長し、マザーリ・シャリーフ国際空港まで延伸する工事が行われました。この路線は、ウズベキスタン鉄道によって運営されており、貨物輸送サービスを提供しています。

トルクメニスタンとの鉄道連絡


トルクメニスタンのセルヘタバットからアフガニスタンのタウラグーンディーまでの約10kmの路線が接続しています。また、2013年には、アフガニスタンのバルク州からファリヤブ州のアキナ陸上港までの330kmの路線建設計画が発表され、トルクメニスタンの鉄道網との接続を強化する予定です。

パキスタンとの鉄道連絡


パキスタン国鉄の2つの路線が、国境付近のチャマンとランディー・コタルまで到達しています。2010年、アフガニスタンとパキスタンは、両国間の鉄道接続を進める覚書に署名し、クエッタからカンダハル、ペシャワールからジャララバードを結ぶ路線建設を計画しています。

タジキスタンとの鉄道連絡


アフガニスタンとタジキスタンの間でも、鉄道接続の計画があります。

南北回廊


中国冶金集団（MCC）は、アフガニスタン鉱山大臣との間で、南北鉄道建設の調査に関する契約を締結しました。この鉄道は、マザーリ・シャリーフからカーブルを経由し、東部の国境の町であるトルハムまでを結びます。この路線は、メス・アイナクの銅鉱山と接続し、カブールからウズベキスタンとパキスタンを結ぶことを目的としています。

イランとの鉄道連絡


イランのマシュハドを起点とする標準軌の貨物線が、アフガニスタンに最も近い路線です。この路線は、現在、ヘラートまで約202km延伸されています。イラン南部のチャーバハール港とアフガニスタンのハージーガク峠を結ぶ鉄道建設も計画されています。

ハージーガク - チャーバハール鉄道


インドは、鉱物資源が豊富なハージーガク峠とイランのチャーバハール港を結ぶ約900kmの鉄道建設を計画しており、建設支援を約束しています。

その他の国との鉄道連絡


中国とは2016年から貨物列車が運行しており、タジキスタンとの鉄道接続も計画されています。

異なる軌間の接続



アフガニスタン国内では、軌間の異なる路線が接続する箇所が5か所あります。

  • - カンダハール：1676mm / 1435mm
  • - ハイバル峠：1676mm / 1435mm
  • - タウラグーンディー：1520mm / 1435mm
  • - マザーリ・シャリーフ：1520mm / 1435mm
  • - シェール・ハーン・バンダル：1520mm / 1435mm

隣接国との接続状況




今後の展望



アフガニスタンの鉄道網は、経済発展と地域統合において重要な役割を果たすことが期待されています。各方面からの投資と支援により、鉄道網の整備は今後さらに加速していくことが予想されます。


参考文献



  • - Grantham, A. Railways in Afghanistan
  • - Waters, Paul E (2002). Afghanistan: A Railway History. Bromley: PWA. ISBN 0948904097

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