アラプハ

アラプハ：古代都市の盛衰

アラプハ（Arrapha/Arrapkha）は、現在のイラク北東部に位置する古代都市であり、その歴史は紀元前22世紀にまで遡ります。アッシュルの東約100kmに位置し、様々な民族や勢力の支配下で繁栄と衰退を繰り返しました。

都市の変遷

アラプハが歴史に登場するのは、ウル第三王朝の時代です。当初は都市名であると同時に、地域名や国名としても用いられていました。アッカド帝国の時代にはスバルトゥに属し、その後グティ人に占領され、短期間グティ王国の首都となりました。紀元前2090年頃にはウル第三王朝によってグティ王国が滅ぼされ、メソポタミアから追放されています。

その後、アラプハは古アッシリアの一部となり、バビロニアのハンムラビ王による支配を受けますが、再びアッシリアの一部として復興します。紀元前18世紀には、アッシリアとバビロニアにとって重要な交易の中心地となりました。紀元前15世紀から紀元前14世紀初頭にかけては、フルリ人の都市となり、小王国アラプハの首都としてミタンニ帝国の一部となりますが、アッシリアの反撃により中アッシリア帝国に組み込まれました。

紀元前11世紀から紀元前10世紀にかけてはアッシリアの一部として繁栄し、紀元前615年にはメディア王キュアクサレス2世によって占領されます。その後、アケメネス朝ペルシア、マケドニア帝国、セレウコス朝シリアと支配者が変わり、ヘレニズム時代にはシリア語でKarkaと呼ばれるようになりました。パルティア帝国とサーサーン朝時代には、ベスガルマイと呼ばれるアッシリア人の小王国の首都となり、サーサーン朝の行政区画であるアスーレスターンの一部となりました。7世紀半ばのイスラム教徒による征服後、アラプハは最終的にキルクーク（Kirkuk）となりました。

考古学的調査

アラプハは現在のキルクークの地下に位置するため、未だ発掘されていません。しかし、考古学的研究によってその場所が特定されています。同時代の記録の解読や地形の比較などから位置が絞り込まれ、1926年にはC・J・ガッドがキルクークの丘から発見された粘土板にアラプハの名前を見出したことで特定に成功しました。キルクーク近郊のヌジ遺跡から出土したヌジ文書からは、当時のアラプハの経済活動の活発さを知ることができます。

支配者たち

アラプハの支配者については、年代が特定されている者は限られています。

Kipi-Teššup
Itḫi-Teššup (Kipi-Teššupの息子、紀元前1420年頃に在位？)
Itḫi-Tilla
Mušteja
Šar-Teššup

おそらく存在した王

Tarmi-Teššup
Aršali

アッシリアの総督

新アッシリアの記録には、リンムとして記載されているアラプハ総督が6人おり、これは帝都カルフの総督と同数であり、アラプハの重要性を示しています。

811/810年：Šamaš-kumua
802/801年：Aššur-balti-ekurri
769/768年：Bêl-ilaya
745/744年：Nabû-bela-usur
735/734年：Aššur-šallimanni
714/713年：Ištar-duri

アラプハは、その長い歴史の中で様々な民族や文化が交錯し、重要な役割を果たした古代都市です。今後の発掘調査によって、更なる歴史的発見が期待されます。

外部リンク

Gernot Wilhelm著「THE HURRIANS」 (フルリ人関係の書籍。英語。)

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