アルタ (ギリシャ)

アルタ：歴史と文化が息づくギリシャの古都

アルタ（Arta）は、ギリシャ北西部のイピロス地方に位置する、長い歴史を持つ都市です。古代にはアンブラキアと呼ばれ、その起源は旧石器時代にまで遡ります。戦略的な要衝として、様々な勢力の支配下に入り、豊かな文化遺産を育んできました。

古代から東ローマ、オスマン帝国時代を経て

紀元前9世紀に最初の入植者が現れ、紀元前7世紀にはコリントス人によってアンブラキアが建設されました。紀元前295年には、エペイロス王ピュロスが首都をアンブラキアに遷都し、ローマへの攻撃拠点としました。しかし、その勝利は大きな犠牲を伴い、「ピュロスの勝利」という言葉を生むことになります。

その後、共和政ローマの一部となり、1204年のコンスタンティノープル陥落後には、エピロス専制侯国の首都として繁栄しました。ミカエル1世コムネノス・ドゥーカスによって建国されたエピロス専制侯国は、ギリシャ北西部からテッサリア地方、マケドニア北西部までを支配しました。

1449年にオスマン帝国に征服され、ナルダ（Narda）と改名されましたが、1881年のベルリン条約によってギリシャ王国に割譲され、再びギリシャの都市として歩み始めました。

アルタに残る歴史的建造物

アルタには、古代から東ローマ、オスマン帝国時代に至るまでの様々な時代の建造物が残っています。

古代遺跡

現在のアルタの町の下には、古代アンブラキアの遺跡が眠っています。アンブラキアの城壁、アポロン神殿、円形劇場、墓地などが発掘されており、古代都市の繁栄を偲ぶことができます。

東ローマ時代の遺産

アルタは、東ローマ帝国の重要な拠点であり、数多くの教会が建設されました。中でも有名なのは、13世紀にミカエル2世アンゲロス・コムネノスによって建設されたアルタ城です。東ローマ建築の典型であり、ほぼ完全な形で残存しています。

また、ニケフォロス1世コムネノス・ドゥーカスとその妻アンナ・パレオロギナ・カンタクゼーネーによって建設されたパリゴリトリア教会は、美しいフレスコ画で知られています。聖テオドラ教会は、アルタの守護聖人に捧げられた教会で、13世紀のエピロス専制侯国の妃であるテオドラによって建設されました。

その他の博物館

アルタ先史・古代博物館
スクファス民俗博物館
スクファス歴史博物館
私立民俗博物館（キプセリ）
考古学博物館（コロニシア）

アルタの現在

アルタは、イピロス技術教育大学の本部所在地であり、教育の中心地でもあります。また、ギリシャ各地を結ぶバス路線が充実しており、交通の便も良い都市です。

アラフソス川が町の西から北へと流れ、肥沃な土地を潤しています。周辺地域では農業が盛んで、特に柑橘類の栽培が有名です。

アルタ出身の著名人

ピュロス（エペイロス王）
マクシモス・オ・グレコス（正教会の聖人）
ナポレオン・ゼルヴァス（ギリシャ軍司令官）
ヤニス・モラリス（画家）
アントニス・ニコポリディス（サッカー選手）
* ヤニス・アナスタシウ（サッカー選手）

アルタは、豊かな歴史と文化が息づく魅力的な都市です。古代から中世、そして現代へと、様々な時代の面影を残すアルタを訪れて、ギリシャの歴史と文化に触れてみてください。

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