コルチャ

コルチャ（Korçë / Korça）

コルチャはアルバニア南東部、コルチャ州コルチャ県の中心都市であり、北緯40度37分 東経20度46分に位置します。ギリシャとの国境に近く、2008年の推計人口は約57,758人で、アルバニアで7番目に大きい都市です。1989年の国勢調査では、コルチャ県の人口の97.8%がアルバニア人、2%がマケドニア人となっています。

歴史

新石器時代の遺跡から、この地域には紀元前4000年から人が居住していたことがわかっています。銅器時代は紀元前3000年から紀元前2100年まで続き、その後青銅器時代に入りました。

1280年の書物にはCovizaという名前で記録されています。現在の町は、オスマン帝国支配下の15世紀にイリャズ・ホッジャによって建設されました。オスマン帝国の統治は1440年から始まり、イリャズ・ホッジャのコンスタンティノープル包囲における功績を称え、彼はイリャズ・ベイ・ミラホル（Iljaz Bey Mirahor）の称号を与えられました。コルチャはオスマン帝国のマナストゥル州の県でした。

オスマン帝国による統治は1912年まで続きました。ギリシャに近いため、ギリシャはコルチャの正教徒は全てギリシャ人であると主張し、バルカン戦争の争点となりました。1912年12月6日にギリシャ軍によって占領されました。1913年のギリシャによるアルバニア占領は論争となり、ギリシャはこの地域をギリシャ領北エピルスの一部と主張しました。しかし、民族調査が行われ、1914年にコルフ議定書がギリシャとアルバニアの間で調印されると、この地域は新設された北エピロス自治区の一部とされました。しかし、北エピロス自治区の自治は実現しませんでした。

第一次世界大戦中の1914年7月10日にギリシャ軍はコルチャを占領しましたが、それ以上の拡大はありませんでした。実際には、ギリシャによるコルチャ占領は、オーストリア＝ハンガリー帝国のセルビアに対する最後通牒を受けたものでした。第一次世界大戦中、コルチャはオーストリア＝ハンガリー帝国、次いで再びギリシャの占領下となり、最終的に1916年から1920年までフランスによって統治されました。終戦後にはコルチャはアルバニア領に復することが国際国境委員会により決定されました。

1918年にはコルチャ共和国が独立を宣言しました。これはピンドス共和国設立の先駆けとなりました。ピンドス共和国はアルーマニア語によるアルーマニア人の国家を目指したものでした。

戦間期には、コルチャは共産主義の温床となりました。後にアルバニアの独裁者となったエンヴェル・ホッジャはコルチャに住み、町のフランス語学校の生徒、そして教師となりました。コルチャでの共産主義者の地下活動は、エンヴェル・ホッジャを中心とするアルバニア労働者党となりました。

1939年からイタリア王国によって占領されました。ギリシャ・イタリア戦争が勃発すると、1940年11月にギリシャ軍によって占領され、ギリシャの支配下となりました。1941年4月、ナチス・ドイツがギリシャを攻撃するまでギリシャ統治は続きました。1943年のイタリアの敗戦の後、町は1944年10月24日までドイツの占領下に置かれました。

占領中、コルチャは枢軸国の占領に対する共産主義者の影響を受けた抵抗運動の拠点となりました。アルバニア労働者党は1941年に公式に結党を宣言しました。1944年にドイツが撤退した後、アルバニアによる統治が回復しました。

終戦後、エンヴェル・ホッジャによる独裁政権の時代を、コルチャは他のアルバニアの地域と同様に耐えました。ホッジャは主に富裕層に対して敵対的であり、彼らの多くはファシストによる占領、ナチス支配に抵抗した人々でした。コルチャからは数千人が強制収容所に送られ、ホッジャ政権に対する敵対を理由に処刑されました。数百人の人々がアメリカ合衆国のボストンに移り、以前から同地にあったアルバニア人のコミュニティへと加わりました。労働者党による一党支配が終わった1990年、コルチャは、新民主党が全議席を獲得した6つの町のひとつとなりました。1991年2月に起こった市民の蜂起によって、エンヴェル・ホッジャの像は倒されました。

名称

コルチャ（Korça）は、他の言語では異なる名称で呼ばれています。アルーマニア語ではクルチャウア（Curceaua）あるいはコルチャオ（Corceao、ブルガリア語ではコルチャ（Корча / Korcha）あるいはコルチェ（Корче / Korche）、ギリシャ語ではコリツァー（Κορυτσά / Koritsá）、イタリア語ではコリッツァ（Corizza）、マケドニア語ではゴリツァ（マケドニア語: Горица / Gorica）、トルコ語ではギョリジェ（Görice）と呼ばれます。

文化

コルチャは数世紀にわたって地域の正教会およびイスラムの信仰の拠点となってきました。コルチャは正教会の府主教座がおかれ、また巨大な15世紀のモスクが建てられました。また、コルチャとその周辺にはベクタシ（Bektashi）のムスリムのコミュニティもあり、その最大の中心はトゥラン・テッケです。

オスマン帝国の統治下では、アルバニア民族覚醒の拠点のひとつとなりました。アルバニア語による初の学校が1887年に設立され、またアルバニアで初の女学校が1891年に設立されました。

教育

コルチャは高等学校によるレベルの高い教育で知られ、特に数学、物理学、化学、外国語の学校があります。コルチャには、"Shkolla e Mesme e Pergithshme"、"Themistokli Germenji"、"Preca College"、"Gjuhet e Huaja"、"Shkolla Bujqesore"などの学校があります。

経済

20世紀の間、コルチャでは旧来からの農業と交易に加えて、製造業が発展をみせました。町の周囲に広がる平坦で肥沃な土地はアルバニアの穀物生産の中心となっています。地元の産業にはニットウェア、じゅうたん、繊維、コムギの製粉、醸造、砂糖の精製などがあります。周囲の山地では褐炭の採掘もされています。

スポーツ

1933年にアルバニアのチャンピオンとなったサッカー・クラブ、KSスケンデルベウ・コルチャ（KS Skënderbeu Korçë）があります。

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