ブルハーヌッディーン・ラッバーニー

ブルハーヌッディーン・ラッバーニーの生涯

ブルハーヌッディーン・ラッバーニー（1940年9月20日 - 2011年9月20日）は、アフガニスタンの政治家であり、イスラム主義組織ジャマーアテ・イスラーミーの最高指導者でした。彼は、初代アフガニスタン・イスラーム国大統領として、1992年から2001年までその任を務めました。タジク人であり、その政治活動はアフガニスタンの激動の歴史と深く結びついています。

生い立ちと教育

ラッバーニーは、1940年または1942年にバダフシャーン州ファイザバードで生まれました。彼は、地元の学校を卒業後、カーブルのアブ・ハニファ神学校に進み、イスラム法学を学びました。その後、カーブル大学イスラム法学部に進学し、優秀な学生として知られるようになりました。1963年に大学を卒業すると、同大学の講師に迎えられ、さらに学問を深めるため、カイロのアル＝アズハル大学でイスラーム哲学の修士号を取得しました。また、1969年にはトルコのアンカラ大学にも3ヶ月間留学しました。

ジャマーアテ・イスラーミーでの活動

1968年にアフガニスタンに帰国したラッバーニーは、ジャマーアテ・イスラーミーの理事会から大学生の組織化を命じられました。1972年には、その深い学識、人望、活発な宗教活動が認められ、理事会によってジャマーアテ・イスラーミーの最高指導者に選出されました。1974年には、ダーウード政権によって逮捕されそうになりましたが、学生の助けを借りて難を逃れ、パキスタンに脱出しました。その後、イランのマシュハドを経て、1980年からはパキスタンを拠点に、アフガニスタン人民民主党に対する闘争を指揮しました。彼は、ジャミアテ・イスラーミーのムジャーヒディーンとして、ソ連・アフガン戦争を戦い、1989年から1992年までは、ペシャーワルの亡命政権で外相を務めました。ラッバーニー派は、1992年にカーブルに最初に入城したムジャーヒディーン部隊となりました。

アフガニスタン・イスラーム国大統領として

1992年、ナジーブッラー政権崩壊後、ラッバーニーは帰国し、暫定指導評議会議長に就任しました。同年6月28日には、アフガニスタン・イスラーム国の大統領に選出されました。しかし、グルブッディーン・ヘクマティヤール率いるヒズベ・イスラーミーとの対立や、各派閥間の争いが激化し、アフガニスタンは内戦状態に陥りました。カーブルは内戦によって壊滅的な打撃を受けました。

1996年9月、ターリバーンがカーブルを攻略すると、ラッバーニーはカーブルを脱出しました。しかし、その後も北部同盟の支持を得て、ターリバーンに対抗する戦闘を続けました。1997年6月には、北部同盟政府の大統領に就任しました。アメリカ同時多発テロ事件後、ラッバーニーはアメリカ合衆国とNATOによるターリバーン排除のための軍事行動に協力しました。カーブルが陥落し、ラッバーニーは大統領の座に返り咲きましたが、アフガニスタン暫定行政機構の発足に伴い、ハーミド・カルザイに権限を移譲しました。

その後の活動と死去

カルザイ政権下では、主要なポストを得ることはありませんでしたが、国内で議員として政治活動を続けました。2007年3月には、野党同盟「国民戦線」の党首に就任しました。また、ターリバーンとの和解交渉を担当する高等和平評議会議長を務めていましたが、2011年9月20日、自宅への自爆攻撃により死亡しました。ターリバーンが犯行声明を出しました。

家族

ラッバーニーは妻帯しており、2人の息子（サラーフッディーンとジャマリ）がいます。長男のサラーフッディーンは、元駐トルコ大使であり、父親の死後、高等和平評議会議長を引き継ぎました。娘婿のアフマド・ズィヤ・マスードは、第一副大統領などを歴任しました。

ラッバーニーの生涯は、アフガニスタンの激動の歴史と深く結びついており、その政治活動は、現在のアフガニスタンにも大きな影響を与えています。

もう一度検索