アントン・ポートマン

アントン・L・C・ポートマンは、生没年不詳のアメリカの外交官です。日本の資料では「ホットメン」または「ポットメン」と記録されています。

経歴

オランダで生まれたポートマンは、1853年、アメリカ東インド艦隊が日本へ向かう途中に寄港した上海で、マシュー・ペリー提督にその才能を見出され、艦隊書記兼参謀として抜擢されました。彼はペリーとともに日本へ向かい、フィルモア大統領の親書をオランダ語に翻訳する重要な役割を担いました。

日米交渉では、漢文担当のサミュエル・ウィリアムズと共に通訳を務め、1854年のペリー再来航時にも同行し、日米和親条約のオランダ語草案を作成しました。ペリーは、初代アメリカ公使のタウンゼント・ハリスにポートマンを通訳として推薦しましたが、ハリスはこれを拒否しました。

1861年、ハリスの通訳であったヘンリー・ヒュースケンが暗殺された後、ポートマンが公使館の通訳官兼書記官に就任しました。1865年、第2代公使ロバート・ブリューインが任期途中で帰国すると、ポートマンは代理公使に任命され、約1年半の間、その職務を代行しました。

代理公使としての活動

代理公使としての期間、ポートマンは激動の幕末期における様々な問題に対処しました。長州藩によるアメリカ商人からの武器密輸事件（フィーパン号事件）、下関戦争の処理、富士山丸問題、通商条約勅許問題（兵庫開港要求事件）など、難題の解決に奔走しました。また、1868年1月17日には、幕府老中・小笠原長行から江戸・横浜間の鉄道敷設許可を得ましたが、これは1869年に新政府から「幕府による承認日が新政府樹立後である」として無効とされました。

人物評

エドウィン・ダン以前の駐日公使の中で、ポートマンは最も日本語に堪能で、日本の事情にも精通していた人物として評価されています。その語学力と知識は、日米間の外交において重要な役割を果たしました。

参考文献

日本歴史学会編『明治維新人名辞典』
国史大辞典編集委員会編『国史大辞典』
マシュー・ペリー（オフィス宮崎 編訳）『ペリー艦隊日本遠征記』
小川亜弥子「幕末期長州藩西洋兵学実践の経済的基盤」福岡教育大学紀要、第52号第2分冊、P19-43、2003年

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