インドミタブル (空母)

インドミタブル(HMS Indomitable): 不屈の航空母艦の生涯

イギリス海軍の航空母艦「インドミタブル」は、その名のとおり不屈の精神を体現した艦でした。イラストリアス級航空母艦の改良型として建造され、搭載機数の増加が図られた本艦は、ヴィッカース・アームストロング社バロー造船所で建造され、1941年8月26日に竣工しました。

極東への派遣と座礁

第二次世界大戦の激化の中で、「インドミタブル」は極東のシンガポール防衛を目的としたZ部隊への編入が決まりました。イギリス海軍本部は当初、旧式艦を多数派遣する計画でしたが、チャーチル首相の判断により、新鋭艦を基幹とする小規模部隊の派遣が決定。この部隊には、戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」や巡洋戦艦「レパルス」と共に、「インドミタブル」が含まれていました。

しかし、就役直後の「インドミタブル」は、1941年11月、ジャマイカのキングストン沖で座礁するというアクシデントに見舞われます。この座礁により、シンガポールへの回航が遅延し、代艦として軽空母「ハーミーズ」が派遣されることになりました。「インドミタブル」の修理はアメリカ合衆国東海岸のノーフォーク海軍造船所で行われ、その遅延は後のマレー沖海戦でのZ部隊の壊滅に影響を与えたと言われています。この海戦で、フィリップス長官以下主力艦が沈没、極東での戦局は大きく悪化しました。「インドミタブル」に搭載されていたシーハリケーンやフルマー戦闘機は、零式艦上戦闘機との交戦において劣勢に立たされていた可能性もあり、もし同艦がマレー沖海戦に間に合っていたとしても、沈没していた可能性も否定できません。

セモリナII作戦とインド洋での戦い

修理を終えた「インドミタブル」は、1942年1月、セモリナII作戦に参加。ポート・スーダンからハリケーン戦闘機50機をシンガポールへ輸送する任務に就きました。しかし、搭載中に2機が損傷し、最終的に48機が輸送されました。その後、「インドミタブル」はセイロン島に寄港。しかし、シンガポールは陥落し、イギリスは戦略の見直しを余儀なくされました。蘭印作戦でオランダ領東インドが占領され、ABDA艦隊も壊滅。イギリスはセイロン島防衛のため東洋艦隊を増強し、「インドミタブル」は姉妹艦「フォーミダブル」と共にインド洋で活動しました。

日本海軍の空襲を受けながらも、東洋艦隊は辛くも生き延びました。しかし、セイロン島はもはや安全な拠点ではなく、東洋艦隊はケニヤのキリンディニ港まで後退することとなります。イギリスは、日本軍がマダガスカルを占領する可能性を懸念し、アイアンクラッド作戦（マダガスカル侵攻作戦）を発動。「インドミタブル」もこの作戦に参加し、フランス潜水艦からの雷撃を受けるも、難を逃れました。

地中海での激戦と修理

ミッドウェー海戦後、インド洋での活動を終えた「インドミタブル」は地中海へ移動。ペデスタル作戦（マルタ島への物資輸送作戦）に参加しました。しかし、この作戦でドイツ空軍の急降下爆撃を受け、大破。44名の戦死者を出すという痛手を負いました。リヴァプールでの修理の後、1943年7月、シチリア島上陸作戦（ハスキー作戦）に参加。この作戦でもイタリア空軍の攻撃を受け、魚雷を被雷。再び深刻な損傷を受け、アメリカ東海岸のノーフォーク海軍工廠で修理を受けました。

太平洋戦線への投入と終戦

1944年5月、修理を終えた「インドミタブル」は、イギリス太平洋艦隊に編入。スマトラ島やニコバル諸島への空襲に参加しました。沖縄戦にも参加し、特攻機の攻撃を受けながらも、終戦まで戦い続けました。終戦後、イギリスに戻り、1947年から1950年にかけて近代化改装を受けました。1953年に予備艦となり、1955年に除籍、スクラップとして売却されました。

ゲームや小説への登場

「インドミタブル」は、その激動の生涯から、多くのゲームや小説に登場しています。『World of Warships』、『アズールレーン』、『戦艦少女R』といったゲーム作品や、『ラバウル烈風空戦録』といった小説で、その姿を見ることができます。 その活躍は、多くの人の記憶に刻み込まれ、今も語り継がれているのです。

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