ウィリアム・ダグラス (第4代クイーンズベリー公爵)

第4代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラス：生涯と多岐にわたる活動

第4代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラス（1724年 - 1810年）は、スコットランド貴族として、ピーブルズ子爵、マーチ伯爵、マーチ＝ラグラン伯爵などの称号を歴任し、「オールド・Q」の愛称で親しまれました。彼の波瀾万丈な生涯と、社会に与えた影響について掘り下げていきます。

生い立ちと爵位の継承

1724年、第2代マーチ伯爵ウィリアム・ダグラスと第2代ラグラン女伯爵アン・ハミルトンの息子として誕生。1731年に父の死によりマーチ伯爵位を、1748年には母の死によりラグラン伯爵位を継承しました。ラグラン伯爵の方が創設日が早かったにもかかわらず、彼は「マーチ＝ラグラン伯爵」の称号を用いました。

1759年には、第8代カセルス伯爵の爵位と財産を巡り、女系継承権を主張しましたが、認められませんでした。1763年にはシッスル勲章を授与されています。

公職と政治活動

1760年から1789年までジョージ3世の寝室侍従を務め、1761年から1784年まではスコットランド貴族代表議員として国政に関与しました。また、1767年から1776年までスコットランド海軍次官、1776年にはスコットランド第一警察卿に任命されましたが、この官職は1782年に廃止されています。

1778年、第3代クイーンズベリー公爵の死去に伴い、クイーンズベリー公爵位を継承。1786年にはグレートブリテン貴族としてダグラス男爵に叙されました。

1788年に王太子ジョージが摂政就任を主張した際、ダグラス家で唯一王太子を支持しましたが、ジョージ3世の回復により1789年に寝室侍従を解任されました。その後、ダンフリーズ統監を1794年から1797年まで務めています。

私生活と財産

ウィリアム・ダグラスは生涯未婚であり、1810年にロンドンの自宅で亡くなりました。彼の死後、ダグラス男爵とラグラン伯爵は後継者がいなかったため廃絶。マーチ伯爵は第6代ウィームズ伯爵へ、クイーンズベリー公爵は第3代バクルー公爵へ、クイーンズベリー侯爵は第5代準男爵へ、それぞれ引き継がれました。100万ポンドを超える遺産は、遺言に基づき多くの人々に分配されました。

彼は当時のイギリスにおける百万長者の一人であり、オペラのパトロンとしても知られていました。

競馬への情熱

1750年、ターフェ伯爵との賭けに勝利し、ニューマーケット競馬場での四輪馬車レースを成功させました。ジョッキークラブの設立にも関わり、競馬場の近くに邸宅を構えて競馬に没頭。競走馬の育成に力を注ぎ、自ら騎手を務めて勝利することもあったそうです。また、競馬賭博でも多くの勝利を収めました。

住居と逸話

ニューマーケットの邸宅の他、リッチモンドの邸宅にも居住していましたが、隣接する芝生に関する訴訟に敗れたことをきっかけに、ピカデリーの邸宅に移りました。ネイドパース城周辺の植林を整地したのは、庶出の娘マリアの結婚における持参金のためだったとされています。また、ピカデリーの邸宅では、バルコニーから美しい女性を招き入れるための専用通路を設けたという逸話も残っています。

晩年

晩年には、延命のためにフランス人医師に多額の報酬を支払っていたそうです。彼の死期が近づくと、多くの女性から手紙が届きましたが、その中には未開封のものも多く含まれていました。ナサニエル・ラクソールによれば、晩年の彼は体は衰えましたが、知性は衰えなかったといいます。

このように、第4代クイーンズベリー公爵ウィリアム・ダグラスは、貴族としての地位、政治活動、競馬への情熱、そして数々の逸話を通じて、その時代に大きな足跡を残した人物でした。

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