ウィル・カルホーン

ウィル・カルホーン：多才なドラマーの軌跡

ウィル・カルホーンは、アメリカ合衆国出身のドラマーであり、ロックバンド「リヴィング・カラー」のメンバーとしてその名を知られています。1964年7月22日にニューヨークのブロンクスで生まれた彼は、音楽の才能を開花させ、多岐にわたるジャンルで活躍しています。

音楽の道へ

カルホーンはボストンに移り住み、バークリー音楽大学で音楽プロデュースとエンジニアリングを学びました。在学中には、ドラマーとしての卓越した才能が認められ、バディ・リッチ・ジャズ・マスターズ賞を受賞しています。

リヴィング・カラーでの成功と多様な音楽活動

「リヴィング・カラー」のドラマーとして最もよく知られていますが、カルホーンの音楽活動はそれだけに留まりません。ジャングル・ファンクやヘッドフェイクでの演奏、ジャズ・アルバムのリーダーとしての録音など、幅広い活動を展開しています。また、ファラオ・サンダース、B.B.キング、ハーブ・アルパート、ドクター・ジョン、ジャコ・パストリアス、ウェイン・ショーター、マーカス・ミラー、パブリック・エナミー、ロン・ウッドといった、ジャンルを超えた数多くの著名なミュージシャンと共演しています。フィンランドのシンフォニックメタル・シンガー、ターヤ・トゥルネンのアルバム『What Lies Beneath』の「Crimson Deep」にも参加しています。さらに、「Stone Raiders」というミュージカル・バンドのメンバーとしても活動しています。

受賞歴と作曲家としての才能

カルホーンは、その才能と実績が認められ、数々の賞を受賞しています。雑誌『Modern Drummer』の読者投票では、「1988年最優秀新人ドラマー」に選ばれ、その後も「ナンバーワン・プログレッシブ・ドラマー」として3回（1989年、1991年、1992年）選出されています。『ローリング・ストーン』誌の批評家投票では「1990年最優秀ドラマー」に選ばれました。また、リヴィング・カラーとして、1989年と1990年にグラミー賞のベスト・ハードロック・パフォーマンスを2度受賞し、1991年にはベスト・ロック・バンドの国際ロック賞を受賞しています。ドラム演奏に加えて、アルバム『タイムズ・アップ』に収録された「Pride」や、アルバム『ステイン』に収録された「Nothingness」を作曲するなど、作曲家としても才能を発揮しています。

革新的なドラミングスタイル

カルホーンのドラミングは、多様なスタイルの影響と機材の拡張技術が融合した、革新的なものです。リヴィング・カラーでは、高度なファンクとフュージョンのテクニックを、ハードロックやスラッシュメタルの要素と融合させました。近年では、ドラムンベースのグルーヴ、エスニック・パーカッション、サンプリングなどを演奏に取り入れています。彼は非常に肉体的なプレイスタイルであり、正確なグルーヴから自由な形式の前衛ファンクやジャズのアプローチまで、幅広いレパートリーを持っています。また、コルグ・ウェーヴドラムやマンダラ・ドラムといった最新の電子ドラムも積極的に使用し、自身の音楽表現の幅を広げています。

クリード、アルター・ブリッジのスコット・フィリップスは、「カルホーンの存在が、おそらく私がドラムを演奏し始めた理由だと思います……。リヴィング・カラーの2枚目のアルバム『タイムズ・アップ』は出るべくして出たものだったんでしょうね。あなた方はその男が風変わりなドラム・スティックを持っているとか言うのでしょうけど、彼はそれを誇示せず、いつレイドバックするかを知っていたんです」と語っています。

ディスコグラフィー

リヴィング・カラー

Vivid (1988)
Time's Up (1990)
Stain (1993)
Collideøscope (2003)
The Chair in the Doorway (2009)
Shade (2017)

ソロ・アルバム

Housework - Solo Drum Performances (1995年)
Drumwave (1997年)
Live at the Blue Note (2000年)
Native Lands (2005年)
Life in this World (2013年)
Celebrating Elvin Jones (2016年)

参加アルバム

* サンティ・デブリアーノ - Artistic License (2001年、Savant)

ウィル・カルホーンは、常に新しい音楽の可能性を追求し、進化し続けるドラマーです。彼の音楽は、ジャンルを超えて多くの人々に感動を与え続けています。

もう一度検索