ウズベキスタンの人口統計

ウズベキスタンの多様な顔：人口統計から読み解く社会の現実

ウズベキスタンは中央アジア最大の国家であり、その人口統計は複雑で多様な社会構造を反映しています。本稿では、人口動態、民族構成、言語、宗教、教育、移民といった様々な側面からウズベキスタンの人口について詳細に考察します。

人口動態：若年層中心、出生率の変遷

2011年時点でのウズベキスタンの人口は約2810万人。中央アジア全体のほぼ半分を占めています。年齢構成は若年層に偏っており、14歳以下の子供たちが人口の約3分の1を占めていました。

出生率は、ソ連時代には大家族志向や農業社会の伝統から高水準を維持していました。しかし、近年の傾向として、政府による現代的な避妊法の普及政策等により、出生率は低下傾向にあります。合計特殊出生率（TFR）は、2011年には1.89にまで減少。1950年代から1970年代にかけては、妊娠中絶が避妊の主要手段でしたが、その後はIUD（子宮内避妊器具）など、現代的な避妊法への移行が進んでいます。

民族構成：ウズベク人多数、少数民族の複雑な状況

ウズベキスタンの人口の大半を占めるのはウズベク人ですが、ロシア人、タジク人、カザフ人、カラカルパク人など、様々な民族が共存しています。民族構成比については、政府発表と学者の推定にずれがある場合も見られます。特にタジク人の割合は、政府発表よりはるかに高いと推定する学者もいます。これは、国勢調査における民族分類の曖昧性や、ウズベク人として回答するタジク人の存在などに起因する可能性があります。朝鮮民族（高麗人）やアルメニア人も少数ながら居住しています。

言語：ウズベク語とロシア語の二極化

ウズベキスタンでは、ウズベク語が公用語ですが、ロシア語も広く使用されています。1990年代半ばには、ウズベク語の表記がキリル文字からラテン文字に移行されましたが、キリル文字の使用も依然として根強く残っています。ウズベク語を公用語とした政策は、民族主義の高まりとロシアの影響からの脱却を目的としたものでしたが、少数民族の言語使用への影響も懸念されています。

宗教：イスラム教が中心、宗教の役割の変化

ウズベキスタンの人口の約90％はイスラム教徒であり、スンニ派が多数派です。ロシア正教徒も一定数存在しますが、ソ連時代の教育政策や高い識字率の影響から、原理主義的な宗教観はそれほど広まっていないとされています。ユダヤ教徒の人口は、ソ連崩壊後、大きく減少しています。

教育：高い識字率と義務教育

ウズベキスタンの識字率は非常に高く、ほぼ100％に達しています。12年間の義務教育制度も整備されており、国民の教育レベルは高い水準にあります。

移民：国外への労働力流出

ウズベキスタンでは、経済状況の悪化により、国外への労働力流出が大きな問題となっています。特に、ロシア、カザフスタンなどへの移民が多いとされています。労働許可証の取得が困難であることや、不法移民の問題も存在します。

少数民族の移出

ウズベキスタン独立後、経済状況の悪化や言語政策などが原因で、少数民族の国外への移出が続いているとされます。特にロシア人は、独立後、ロシアへの帰国が進んでおり、都市部におけるロシア人の割合は減少しています。しかしながら、「祖国」と「生まれ育った国」という複雑な事情を抱え、移住を躊躇する少数民族も少なくありません。

結論

ウズベキスタンの人口統計は、歴史的背景、政治状況、経済状況などが複雑に絡み合った結果として形成されたものです。人口動態、民族構成、言語、宗教、教育、移民といった様々な要素を考慮することで、ウズベキスタンの社会構造をより深く理解することができるでしょう。将来にわたって、ウズベキスタンの人口動態と社会構造がどのように変化していくのか、注目が必要です。CIAワールド・ファクトブックなどの公式統計資料を参照することで、より詳細な情報を得ることができます。

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