ウズベキスタンの歴史

ウズベキスタンの歴史：シルクロードから独立まで

ウズベキスタンは、中央アジアに位置する歴史豊かな国です。紀元前1000年頃には、イラン系遊牧民が中央アジアのオアシスに灌漑システムを築き、ブハラやサマルカンドといった都市を建設しました。これらの都市は、シルクロード交易の中継地として栄え、莫大な富を蓄積しました。

古代からイスラム時代へ

紀元前5世紀頃には、バクトリア、ソグディアナ、トハラなどの国家が中央アジアを支配しました。ソグディアナ人はシルクロード交易で重要な役割を果たし、中国やヨーロッパとの交易を仲介することで巨万の富を築きました。しかし、マー・ワラー・アンナフル（トランスオクシアナ）と呼ばれるこの地域は、常に周辺勢力の侵略の脅威にさらされていました。アレクサンドロス大王も紀元前328年にこの地を征服しましたが、長くは続きませんでした。

7世紀には、アラブ人がイスラム教を広めるために中央アジアに侵攻し、マー・ワラー・アンナフルを征服しました。8～9世紀のアッバース朝時代は、この地域における学問と文化の黄金期となりました。ブハラはイスラム世界の重要な文化・学術の中心地として栄え、多くの学者や芸術家を輩出しました。この時代、ペルシア語が行政や文学の主要言語となりました。

テュルク系の台頭とモンゴル帝国

9世紀以降、北部ステップからテュルク系遊牧民が流入し、中央アジアの勢力図は大きく変化しました。ガズナ朝、カラハン朝、セルジューク朝などのテュルク系王朝が興亡し、ペルシア文化とテュルク文化が混じり合った独自の文化が形成されました。12世紀にはホラズム・シャー朝が台頭しましたが、13世紀初頭、チンギス・カン率いるモンゴル帝国の侵攻を受け、滅亡しました。モンゴルの征服は、中央アジアの人口構成や文化に大きな影響を与えました。

ティムール朝とウズベク人の台頭

14世紀には、ティムールがサマルカンドを拠点にティムール朝を興しました。ティムール朝は、広大な版図を支配し、サマルカンドは再び中央アジアの文化の中心地として栄えました。ティムール朝は15世紀末に衰え、中央アジアではウズベク人が勢力を拡大し、ブハラ・ハン国とヒヴァ・ハン国が成立しました。

シルクロードの衰退とロシア帝国の進出

16世紀以降、シルクロード交易は衰え始め、ウズベク・ハン国は内紛や周辺勢力との抗争に苦しみました。19世紀には、ロシア帝国が中央アジアへの進出を強め、1876年までに3つのハン国をすべて保護国化しました。ロシア支配下では、綿花栽培が盛んになり、いくつかの工業化も進められました。しかし、ロシア支配への抵抗も起こり、ジャディード運動が台頭しました。

20世紀：革命とソ連時代

1917年のロシア革命後、中央アジアではジャディード運動家による自治政府樹立の試みがありましたが、すぐに失敗しました。ソビエト政権はバスマチ蜂起と呼ばれる反乱を鎮圧した後、ウズベク・ソビエト社会主義共和国を建国しました。スターリン時代には集団化政策による飢饉や大粛清が行われ、ウズベキスタンはソ連の支配下に置かれました。ロシア化が進み、綿花栽培が優先され、環境問題も深刻化しました。

ソ連崩壊と独立後のウズベキスタン

1980年代後半、ゴルバチョフ政権のペレストロイカ・グラスノスチ政策を受けて、ウズベキスタンでも民族ナショナリズムの高まりが見られました。1991年、ソ連が崩壊すると、ウズベキスタンは独立を宣言し、イスラム・カリモフが初代大統領となりました。独立後のウズベキスタンは、市場経済への移行や民主化、国際関係の構築などに苦労しました。また、テロリズムや民族問題、人権問題にも直面しています。

先史時代からの発見

ウズベキスタンからは、7万年前のネアンデルタール人の頭蓋骨なども発見されており、先史時代からの歴史が垣間見れます。

ウズベキスタンの歴史は、遊牧民と農耕民、様々な民族や宗教、そして列強のせめぎ合いによって複雑に織りなされてきました。その歴史は、現代ウズベキスタンのアイデンティティを形成する上で重要な要素となっています。

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