ウド

ウド（独活）とは

ウド（学名: Aralia cordata）は、ウコギ科タラノキ属に分類される大型の多年草です。日本では古くから山菜として親しまれており、独特の香りと食感が特徴です。春から初夏にかけての若芽は、山菜として珍重され、栽培されたものは野菜として広く流通しています。

名称

和名「ウド」の語源は、茎が中空であることから「空洞（うつろ）」が転じたという説が有力です。漢字では「独活」と書きますが、その由来は明確にはわかっていません。英語では、日本語の発音をそのまま用いて「udo」と呼ばれています。また、中国植物名では「土当帰（どとうき）」という名前で呼ばれます。

別名としては、ヤマウド、ケウド、ホンウド、ツチタラなどがあります。野生種は「ヤマウド」と呼ばれて栽培種と区別されることがありますが、基本的には同じ植物です。また、軟白栽培されたものは「白ウド」「軟白ウド」と呼ばれ、栽培されたものを露地で緑化させたものは「緑化ウド」として流通しています。

分布と栽培

ウドは日本原産で、北海道から九州にかけて広く分布しています。海外では、朝鮮半島、中国、千島、樺太などにも自生しています。山野の林縁や野原、谷間、川岸など、日当たりの良い場所や半日陰の斜面によく見られます。時には、標高2000メートル付近の雪渓近くに自生することもあります。

栽培も盛んに行われており、特に東京都はウドの生産量が全国で最も多く、軟白栽培されたウドが特産品となっています。

形態と生態

ウドは、草丈が1〜1.5メートルほどに成長する大型の多年草で、大きなものでは2メートルに達することもあります。地上部は全体に粗い毛が生えており、特有の良い香りがします。茎は中空の円柱形で、太さは4〜5センチメートルにもなります。葉は、長い葉柄がついて茎の節ごとに互生し、2回羽状複葉で三角形をしており、全体の長さは1メートルにもなります。小葉は卵形で細かい毛があり、葉縁にはぎざぎざがあります。

花期は晩夏から初秋で、茎の上部に多数の球状の散形花序をつけます。花は白色または薄緑色で、径3ミリメートルほどの小さな花が多数咲きます。果実は、秋に直径3ミリメートルほどの球状の液果となり、熟すと黒紫色になります。一果中に3〜5個のゴマ状の種子を持っています。冬には地上部が枯れ、翌春に再び芽を出します。

栽培方法

ウドは、主に軟白栽培と路地栽培の2つの方法で栽培されます。軟白栽培は、地下の室（むろ）に株を入れて、日光を遮断した状態で栽培する方法で、モヤシのように茎を白く伸ばします。この方法で栽培されたウドは、白くて柔らかく、特有の香りが穏やかです。一方、路地栽培は、畑に植えて日光に当てて栽培する方法で、緑色のウドが育ちます。また、軟白栽培したものを出荷前に日光に当てて緑化させることもあります。

食用としての利用

ウドは、若芽、つぼみ、茎の部分が食用になります。シャキシャキとした歯ごたえと、独特の香りと爽やかな苦味が特徴です。山ウドは、天ぷらやおひたし、酢味噌和えなどにして食べられます。白ウドは、和え物や吸い物、煮浸し、サラダ、刺身のつまなど、幅広い料理に使われます。また、皮も柔らかく、キンピラなどにすると美味しくいただけます。

ウドの旬は、栽培物では3〜4月頃、山ウドでは4〜6月頃です。新鮮なものは、茎の皮を厚めに剥いて使いますが、柔らかい白ウドは皮ごと調理することもできます。ただし、表面の産毛は口当たりが悪くなるため、取り除く必要があります。

薬用としての利用

ウドは、根茎を生薬として利用することもあります。生薬名は「独活（どくかつ）」または「和独活（わどっかつ）」といい、漢方薬の原料として使われます。独活には、発汗や血液循環を促進する作用があり、風邪の初期症状、神経痛、リウマチ、頭痛などに効果があるとされています。

また、民間療法では、ウドの茎葉を浴湯料として用いることで、肩こり、腰痛、冷え症などの症状を和らげる効果が期待できると言われています。アイヌ民族は、ウドの根をすり潰して、打ち身の湿布薬として利用していました。

ウドの名前を持つ他の植物

ウドという名前を持つ植物は、ウド以外にも存在します。これらの植物は、セリ科、オシロイバナ科、ユリ科などに属しており、ウドとは異なる植物です。

• - ハマウド（オニウド）
• - シシウド
• - ハナウド
• - オオハナウド
• - ウドノキ
• - マツバウド

慣用句「ウドの大木」

「ウドの大木」という慣用句は、ウドが大きくなっても木材として役に立たないことから、転じて「図体は大きいが中身が伴わず、役に立たないもの」を指すたとえとして使われます。しかし、ウドは樹木ではなく、草本の一種です。

注意点

ウドには食物アレルギーの原因となる成分が含まれている可能性があります。そのため、アレルギー体質の方は注意が必要です。

また、ウドはアクが強い植物です。生食する際は、水や酢水にさらしてアク抜きをする必要があります。調理する際も、アク抜きをしてから使うようにしましょう。

まとめ

ウドは、古くから日本人に親しまれてきた山菜であり、野菜です。独特の香りと食感は、多くの人々を魅了し続けています。食用としての利用だけでなく、薬用としての効能も注目されています。この記事を通じて、ウドの魅力や奥深さを感じていただければ幸いです。

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