瓜裂の清水:歴史と自然が織りなす癒やしの空間
富山県砺波市庄川町金屋に位置する瓜裂の清水は、
昭和60年(
1985年)に
名水百選に選ばれ、
昭和62年(1987年)には
砺波市指定文化財に指定された、由緒ある
湧水です。豊かな水と緑に恵まれた
庄川町は水の郷百選にも選定されており、瓜裂の清水はその象徴的な存在と言えるでしょう。
地理と水源
瓜裂の清水は、八乙女山と閑乗寺県定公園に広がる豊かな
水源林を背景に湧き出しています。この
水源林は、ヒサカキの巨木やシデコブシなどの落葉広葉樹で構成されており、
地下水を涵養する上で重要な役割を担っています。庄川扇状地の扇頂部に位置する
河岸段丘の斜面から自噴しており、庄川扇状地の
伏流水、あるいは八乙女山の
水源林や降雪などによって涵養された
地下水が、
河岸段丘に湧出していると考えられています。
湧水池には紅藻類が繁殖しているため、水中の石が赤く染まっているのが特徴です。この独特の景観は、瓜裂の清水の神秘性をさらに高めています。現在、
庄川水記念公園を中心とする「水記念公園管理運営協議会」によって、大切に管理されています。なお、同じ八乙女山には、平成の
名水百選にも選ばれた不動滝の霊水も存在します。
歴史と由来
瓜裂の清水の由来は、瑞泉寺(
南砺市井波)を開いた
綽如という僧にまつわる伝説に遡ります。
綽如が岩黒で休憩中に、馬の蹄が地面に沈み込み、その跡から清水が湧き出したと伝えられています。そして、村人がこの清水で冷やした瓜が、冷たさのために自然に裂けてしまったことから、「瓜裂の清水」と名付けられたと言われています。この逸話からも、古くから人々に親しまれ、その冷たさが知られていたことが分かります。
昭和60年(
1985年)10月には、地元の岩黒団地長寿会によって
水琴窟が設置されました。この
水琴窟からは、澄んだ水の音色が響き渡り、訪れる人々を癒やしていました。しかし、令和5年(2023年)7月の大雨により、清水には大量の土砂が流入する被害を受けました。その後、土砂の除去作業が行われ、清水は元の状態に戻りましたが、
水琴窟は残念ながら音が響かない状態となってしまいました。
アクセス
瓜裂の清水へのアクセスは、鉄道と車、いずれも可能です。
鉄道: 城端線砺波駅からバスで約25分、「西野々」バス停下車後、徒歩で約10分。
車: 国道156号 金屋交差点からすぐ。
豊かな自然と歴史、そして人々の暮らしに深く関わってきた瓜裂の清水は、これからも多くの人々に愛される、貴重な場所であり続けるでしょう。