エイブラハム・ビュフォード

エイブラハム・ビュフォードの生涯

エイブラハム・ビュフォード2世（1820年1月18日 - 1884年6月9日）は、アメリカ合衆国の軍人であり、著名なサラブレッド競走馬のオーナーブリーダーでした。南北戦争では南軍の将軍として戦いました。彼の生涯は、軍事、競馬、そして家族の悲劇が入り混じった複雑なものでした。

生い立ちと家族

ビュフォードは、ケンタッキー州ウッドフォード郡で、フランシス・W・カートリーとウィリアム・B・ビュフォードの息子として生まれました。彼の家系は、フランスでの迫害から逃れてイングランドに移住し、その後1635年にアメリカに渡ったユグノーのボーフォール家に遡ります。アメリカ独立戦争で大陸軍の士官を務めた大伯父エイブラハム・ビュフォードから名前を受け継ぎました。従兄弟のジョン・ビュフォードやナポレオン・B・ビュフォードも同じ地域で育ち、南北戦争では北軍の将軍として活躍しました。

軍歴

エイブ・ビュフォードとして知られた彼は、センター大学で学んだ後、1837年にウェストポイントの陸軍士官学校に入学しました。1841年に卒業後、1842年から1846年まで第1竜騎兵隊の少尉としてカンザス準州とインディアナ準州での辺境任務に就きました。米墨戦争ではブエナ・ビスタの戦いでの勇敢さが認められ、大尉に名誉昇進しました。戦後も辺境任務に従事し、1848年にはサンタフェ・トレイル遠征に参加しました。1849年にはサンタフェからチェロキー・トレイルの一部を使って郵便輸送の護衛を務めました。その後、ペンシルベニア州カーライルの陸軍騎兵学校に派遣されましたが、1854年に除隊し、故郷のウッドフォード郡に戻りました。

1862年に南北戦争が勃発すると、ビュフォードは南軍に入隊しました。彼はケンタッキー州の旅団を立ち上げ、その指揮を執り、1862年9月2日に准将に任官されました。ブラクストン・ブラッグ将軍のケンタッキー州からの撤退を支援し、ウィリアム・W・ローリング将軍の下でビックスバーグ方面作戦に参加し、チャンピオンヒルの戦いやブライス交差点の戦いを戦いました。1864年12月24日のナッシュビルの戦いで南軍が敗北した後、ジョン・ベル・フッド将軍の退却を支援中にリッチランド・クリークで負傷しました。1865年2月には、ネイサン・ベッドフォード・フォレスト中将の下でアラバマ州の騎兵師団を指揮し、ウィルソンの襲撃後にアラバマ州セルマで降伏しました。

1865年の南北戦争終結後、ビュフォードはケンタッキー州の牧場に戻り、サラブレッドの生産者としてのキャリアをスタートさせました。

ボスク・ボニータ牧場

ビュフォードのウッドフォード郡の牧場は「ボスク・ボニータ（美しい森）」と名付けられ、ニューヨーク・タイムズからは「ブルーグラス地域の最高君臨者かのような住い」と評されました。この牧場では、後に1877年のケンタッキーダービーで優勝するバーデンバーデンに騎乗したビリー・ウォーカーが、1860年に奴隷として生まれました。

1852年から牧場で繋養していたソブリンは、種牡馬として成功し、その血統を広げました。翌年、ビュフォードはリチャード・テン・ブロエック、ウィラ・ビリー大尉、ジュニアス・R・ウォードとシンジケートを結成し、当時3歳馬だったレキシントンを購入しました。レキシントンは競走馬としても活躍し、1856年に引退して種牡馬となりました。1858年には、レキシントンはウッドバーン・スタッドのロバート・A・アレクサンダーに15,000ドルで売却されました。これは当時のアメリカの競走馬としては最高額であり、レキシントンはその取引額に見合う種牡馬成績を残しました。

ビュフォードは生産者としても成功し、ネリーグレイ、エンクワイア、クロスランド、ヴァーセイルズなど多くの名馬を生産・所有しました。マニーグレイは「繁殖の歴史の中で最も影響力あるアメリカの雌馬の1頭」と評され、ビュフォードが所有していたものの、後にディキシアナファームのバラク・トーマス少佐に売却され、同馬の繁殖牝馬としての評価はトーマスの牧場に繋養されてからでした。1866年には、リーミントンの新しいオーナーであるカナダ人のロードリック・W・キャメロンが、そのシーズンの種牡馬としてリーミントンをボスク・ボニータ牧場に送りました。ビュフォードはその年に13頭の雌馬にリーミントンを種付けし、アンナメイス、エンクワイア、ロングフェロー、リンチバーグ、リトルトン、ミスアリスなどの優秀な仔馬を得ました。

1875年には、ジョージ・アームストロング・カスター将軍がボスク・ボニータ牧場を訪れ、リトルビッグホーンの戦いの前に騎兵用新馬を購入しました。

その後の牧場

ビュフォードの死後、ボスク・ボニータ牧場は著名な馬主であるジョン・H・モリスに所有されました。モリスは長年ジョージ・J・ロングのバッシュフォード・マナースタッドのために馬を調教し、1905年からは長期借用でウッドバーン・スタッドを運営しました。モリスは1940年代までボスク・ボニータ牧場を所有していました。1977年秋にはフリッツ・ホーンが牧場を購入し、2年後にウィリアム・スタンプス・ファリッシュ3世に売却しました。ファリッシュは牧場をレーンズエンドファームと改名し、バリーエイク、ソブリンダンサー、ファピアノなどを生産・繋養しました。

家族の悲劇

1870年代、ビュフォードは一連の財政的危機に陥り、破産して債権者にボスク・ボニータ牧場を渡すことになりました。さらに、1872年には一人息子のウィリアム・A・ビュフォードを23歳で失い、1879年には妻のアマンダ・ハリス・ビュフォードに先立たれました。同年の3月26日には、兄弟のトマス・ビュフォード大佐がフランクフォートで判事のジョン・ミルトン・エリオットを殺害する事件が起こりました。トム・ビュフォードは警察に出頭し、拘置所に収監されましたが、ビュフォードは兄弟の弁護のために多大な費用を費やしました。控訴審では心神喪失により無罪となり、精神病院に送られました。

ビュフォードの晩年は、競馬新聞で働き生計を立てていました。1884年、トムが精神病院から逃げ出したことが報道され、ある新聞の見出しではトムが「血に飢えている」と書かれた後、ビュフォードは平安を求めてインディアナ州ダンビルに住む甥のベンジャミン・T・ビュフォードの元に行きました。しかし、そこで彼は自ら命を絶ちました。彼の遺体はケンタッキー州に戻され、レキシントン墓地に埋葬されました。

1911年11月21日、エイブラハム・ビュフォード准将の浮き彫りが、ミシシッピ州ビックスバーグの南軍通りに設置されました。

参考文献

Buford, Marcus Bainbridge. "A Genealogy of the Buford Family in America" (1903) ASIN: B00085UTNA
Heidler, David Stephen,/Heidler, Jeanne T./ Coles, David J./ McPherson, James M. "Encyclopedia Of The American Civil War" (2002) W. W. Norton & Co. ISBN 978-0393047585
Brigadier General Buford's report on the Battle of Champion's Hill
National Park Service website with list of the Commanders of the Vicksburg Campaign
Profile of Brigadier General Abraham Buford at the Vicksburg National Military Park
Brigadier General Abraham Buford at the Kentucky Historical Society
General Abraham Buford, C.S.A. at the Alabama Department of Archives and History
December 21, 1883 New York Times article on the escape of Thomas Buford from the Anchorage asylum
June 10, 1884 New York Times article on the death of Abraham Buford

外部リンク

find a grave Retrieved on 2009-02-26

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