オクシタニア

オクシタニアについて

オクシタニア（Occitània）は、南フランスを中心とする地域を指し、オック語が主要な言語として使用されている。フランスにおける調査結果では、住民の約40%がオック語を母語としていることが示されている。オクシタニアという名は1290年に初めて文献に登場するが、オック語自体はダンテによって13世紀後半にすでに言及されていた。地域はフランス、イタリア、スペイン、モナコにまたがっており、それぞれの国にオック語の方言が存在する。

地域情報

オクシタニアは具体的には次のような地域で構成されている。フランス南部では、ロワール川以南のエリアが対象であり、バスク語圏やカタルーニャ語圏を除外した部分となっている。具体的には旧アキテーヌ地域圏、ミディ＝ピレネー地域圏、リムーザン地域圏、オーヴェルニュ地域圏、ラングドック＝ルシヨン地域圏、プロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏及びローヌ＝アルプ地域圏南部が含まれる。

さらにイタリアでは、フランスとの国境近くのピエモンテ州やリグリア州の村々でオック語が話されているほか、南イタリアのカラブリア州でも例外的に使用されている。スペインにおいては、カタルーニャ州北西部のアラン谷でガスコーニュ語の一派であるアラン語が1987年に公用語として認められた。モナコもオック語が長い歴史を持つ地域だ。

オック語の特徴

オクシタニアで使用されるオック語（lenga d'òc）は、ラテン語を起源とし、ロマンス語の一つである。オック語には6つの方言があり、ガスコン、オーベルニュ、リムーザン、ヴィヴァロ・アルパン、ラングドック、プロヴァンスといった方言はすべて相互理解が可能で、それぞれに正書法が存在し、公式な地位を持つ。標準的なオック語は、これらの方言を総合して形成されている。

歴史的背景

オック語に関する最も古い文書は9世紀のもので、法律や文学などで使われている。さらに遡れば、地名からオック語が存在していたことがうかがえる。ローマ時代のガリア・ナルボネンシスでは統一的な文化があったが、5世紀以降は地方の勢力が割拠し、様々な忠誠関係のもとで争っていた。9世紀から13世紀にかけては、オクシタニアを巡る領土争いが続き、オック語やオクシタニアの名が広がる契機となった。

また、12世紀から13世紀にかけてトルバドゥールと呼ばれる詩人たちによってオック語文学が花開き、その名声はヨーロッパ全土に広がった。オクシタニアの移民もトリポリ伯国を形成し、これがオック語の広がりに貢献した。

しかし、13世紀以降フランス王国の支配が進み、17世紀に完全に統治下に入った後、フランス語が主流となる動きが加速した。1589年にはフランソワ1世による行政上の言語をフランス語とする勅令が出され、オック語は次第に衰退を余儀なくされる。特に19世紀には文学活動が復活したものの、1881年以降、学校でのオック語使用は禁止され、言語の地位はもっと低下した。

近年では、人口約1400万のオクシタニア地域で、600万人がオック語を母語とするが、その多くが高齢者だ。言語の保存と発展を目指す取り組みがされている。

著名人

オクシタニア出身の著名人には、音楽家のガブリエル・フォーレ、哲学者のシャルル・ド・モンテスキュー、占星術師のノストラダムス、画家のポール・セザンヌなどがいる。ドミニク・アングルやフレデリック・ミストラル、さらにはジュゼッペ・ガリバルディなど、さまざまな分野で活躍した人物たちがこの地域から輩出されてきた。このようにオクシタニアは、豊かな文化と歴史を背負った地域である。

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