オスマン帝国領トリポリタニア

オスマン帝国領トリポリタニア：リビアの歴史における一時代

オスマン帝国領トリポリタニアは、1551年から1912年まで、現在のリビアのトリポリタニア地方とキレナイカ地方を支配した地域です。オスマン帝国の支配下で、この地はエヤレト（州）として始まりましたが、その実態は半自治的な性格を帯びていました。カラマンリー朝による支配を経て、再びオスマン帝国の直接統治下に入り、最終的には伊土戦争の結果としてイタリア領リビアへと移行しました。

オスマン帝国による征服

16世紀初頭、リビア沿岸地域はハフス朝などの小勢力が支配していましたが、レコンキスタを完了したスペインが北アフリカへの進出を開始し、1510年にトリポリを占領しました。その後、1522年に聖ヨハネ騎士団がロドス島を失うと、神聖ローマ皇帝カール5世はマルタ、ゴゾと共にトリポリを聖ヨハネ騎士団に与えました。しかし、1551年、オスマン帝国海軍のスィナン・パシャとトゥルグト・レイスによってトリポリは包囲・占領され、オスマン帝国の支配下に入りました。トゥルグトはベイ（後のパシャ）となり、ミスラタやズワーラなどの都市を服従させました。

カラマンリー朝の統治

18世紀に入ると、オスマン帝国の北アフリカにおける支配は衰退し、トリポリ、アルジェ、チュニスへのパシャ派遣が廃止され、パシャの称号は世襲制となりました。1711年、オスマン帝国の騎兵将校アフマド・カラマンリーが自立し、カラマンリー朝を成立させました。カラマンリー朝は、バルバリア海賊が徴収する通行料を財源としていましたが、アメリカ合衆国との間で第一次バーバリ戦争が勃発しました。1805年のダーネの戦いで敗北したカラマンリー朝は、アメリカ合衆国の要求を受け入れ、アメリカ合衆国の船舶に対する安全な航海を保証する条約を締結しました。1815年には第二次バーバリ戦争が勃発し、アメリカ合衆国はバルバリア諸国による海賊行為と通行料の支払いを停止させることに成功しました。1817年には、ユスフ・カラマンリーがリビア人部族の指導者を処刑し、虐殺を行う事件も発生しました。

オスマン帝国の権威回復

1830年にフランスがアルジェを植民地化すると、オスマン帝国は危機感を覚え、1835年にトリポリタニアの統治を再び宣言しました。しかし、オスマン帝国の権力は衰退し、エジプトが事実上独立状態となったため、トリポリタニアの海岸や砂漠地帯は無政府状態に陥りました。タンジマート期の1865年には行政改革が行われ、トリポリタニアはエヤレトからヴィライェトに再編され、1867年にトリポリタニア・ヴィライェトとして正式に再編されました。

伊土戦争とその後

1911年から1912年にかけて、オスマン帝国とイタリア王国の間で伊土戦争が勃発しました。この戦争の結果、オスマン帝国はトリポリタニア、フェザーン、キレナイカをイタリアに割譲し、これらの地域はリビアと呼ばれるようになりました。オスマン帝国領トリポリタニアの終焉は、新たな植民地支配の始まりを意味していました。

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