オーストラリアの歴史

オーストラリアの歴史

オーストラリア大陸は、長らく他の大陸から隔絶されていましたが、ヨーロッパ人の到来により、その歴史は大きく動き始めました。本稿では、先住民の時代から現代に至るまでのオーストラリアの歴史を概観します。

前史：先住民の時代

約5万年前、氷河期の影響で海水面が低下し、ニューギニアやタスマニアを含む地域がオーストラリア大陸と陸続きになりました。この頃、東南アジアから海を渡ってきた人々が、オーストラリア先住民（アボリジナル）の祖先であると考えられています。彼らは数万年にわたり、独自の文化や生活様式を築き上げました。

アボリジナルの歴史は長く、その詳細については不明な点が多いですが、遺構から発見された人骨や洞窟壁画、語り継がれた神話などから、その痕跡を辿ることができます。近年では、アボリジナルと古代インド人との混血を示す研究結果や、ヨーロッパ人到来以前から外部との交流があったことを示唆する伝承も存在します。

初期の探検：ヨーロッパ人の到来

1606年、オランダ人航海士ウィレム・ヤンスゾーンがオーストラリア大陸に初めて到達し、ケープヨーク半島に上陸しました。その後、オランダ人アベル・タスマンがタスマニア島やニュージーランドを発見するなど、オランダによる探検が続きました。

イギリスからは、ジェームズ・クックが1770年にオーストラリア東海岸に到達し、ニューサウスウェールズと命名してイギリス領有を宣言しました。しかし、このクックよりも前に、山田長政がオーストラリア大陸を発見していたという説も存在します。

植民地支配の本格化：流刑地から発展へ

18世紀後半、イギリスは囚人収容と資源獲得のため、オーストラリアを流刑植民地として開発を始めました。1788年には、アーサー・フィリップ率いる第1船団がシドニーに到着し、入植が開始されました。この入植を記念して、1月26日は「オーストラリアの日」として祝われています。

初期の植民地は、ニューサウスウェールズ軍団によるラム酒の取引独占など、腐敗した状況にありました。1808年には、ウィリアム・ブライ総督に対する「ラム反乱」が発生し、一時的に反乱者側が政権を掌握しましたが、後に本国から派遣されたラクラン・マクォーリー総督により鎮圧されました。

植民地支配が進むにつれて、アボリジナルとの間で土地を巡る争いが頻発しました。タスマニア島では、1876年にアボリジナル女性トゥルガニニが死去し、「純血」のアボリジナルは絶滅したとされています。

1851年、金鉱が発見されると、ゴールドラッシュが起こり、世界中から人々が押し寄せました。人口が急増する一方で、中国人移民に対する排斥運動も起こり、白豪主義が強化される要因となりました。

連邦成立と両大戦：国家としての歩み

1901年、オーストラリアは連邦として成立し、内政自治権を獲得しました。しかし、外交権は依然としてイギリスにありました。連邦成立後、労働党政権のもとで保護主義的な政策が採られ、社会基盤の整備が進められました。

第一次世界大戦では、オーストラリアはイギリスと共に連合国側で参戦し、多くの犠牲者を出しました。パリ講和会議では、首相ヒューズが全権代表として参加し、旧ドイツ領の委任統治領を獲得しました。

戦間期には、世界恐慌の影響を受けましたが、第二次産業が発展し、日本やアメリカとの貿易も進みました。しかし、1939年に第二次世界大戦が勃発すると、オーストラリアは再びイギリスと共に参戦し、日本軍の攻撃を受けるなど、大きな被害を受けました。

「ミドル・パワー」として：現代のオーストラリア

第二次世界大戦後、オーストラリアはアメリカとの関係を強化し、冷戦下で自由主義陣営の一員として活動しました。1951年には、アメリカ、ニュージーランドとの間で太平洋安全保障条約（ANZUS）を締結し、安全保障体制を確立しました。

1970年代以降は、多文化主義政策を推進し、アジア系移民の受け入れを拡大しました。また、アボリジナルの権利回復にも取り組み、土地所有権を承認しました。近年では、アジア太平洋経済協力（APEC）の設立を提唱するなど、国際社会での存在感を高めています。

21世紀に入り、オーストラリアは経済成長を続け、多文化社会として発展を遂げています。気候変動問題や難民問題など、様々な課題にも積極的に取り組んでおり、国際社会における役割はますます重要になっています。

年表

（年表は省略）

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