アルダハン県

アルダハン県は、トルコ共和国の東アナトリア地方に位置する県です。県都はアルダハン市で、南にカルス県、南西にエルズルム県、西にアルトヴィン県と隣接し、北部と東部はジョージアとの国境を形成しています。アルメニアとの国境にも近い場所にあります。

地理

アルダハン県は高地に位置しており、冬は非常に寒く、気温が-20℃まで下がることも珍しくありません。そのため、冬は雪に覆われる期間が長く、観光客も訪れます。経済の中心は牧畜であり、高地に適した産業が発達しています。

1993年まではカルス県の一部でしたが、県として独立することでインフラ投資を呼び込むことが期待されました。しかし、1950年代から人口流出が続いており、経済的な課題も抱えています。1990年には17万人いた人口も、2000年には約12万人に減少しました。この地域には、キプチャク族、トルコ人、トルクメン人、カラパパク人、アゼルバイジャン系トルコ人など、多様な民族が暮らしています。

トルコ軍は国境地域にプレゼンスを示しており、軍関連施設や軍事雇用が地域の経済を支える重要な要素となっています。また、バクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインもこの地域の経済活動を活性化させる一因となっています。

歴史

紀元前680年頃、スキタイ人がコーカサス山脈を越えて侵入し、ウラルトゥ王国からこの地を奪って支配しました。スキタイ人はヴァン湖の南岸に首都を置きました。その後、この地はペルシアによって奪還され、紀元前330年頃にはアレクサンドロス3世（大王）の支配下に入りました。

1068年には、セルジューク朝のクマン人やペチェネグ族がこの地域を支配し、1124年にはキプチャク族がコーカサスを越えてやってきました。1267年には、イルハン朝時代にアヘルツィヘを首都とするキプチャク王朝が樹立されました。この王朝は、1578年にオスマン帝国に征服されるまで存続しました。

観光

アルダハン県には、アルダハン城をはじめとするいくつかの歴史的な城が残っています。また、ダマル山では、特定時期にアタテュルクの横顔のような影が映し出される現象が見られ、観光客の注目を集めています。

下位自治体

アルダハン県には以下の6つの下位自治体があります。

アルダハン（Ardahan）
チュルドゥル（Çıldır）
ダマル（Damal）
ギョレ（Göle）
ハナク（Hanak）
ポソフ（Posof）

アルダハン県は、その地理的な位置から歴史的に重要な場所であり、多様な民族と文化が交錯する地域です。厳しい自然環境にも関わらず、独自の歴史と文化を育んできたこの地は、観光や歴史研究の観点からも多くの魅力を秘めています。

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