ギルウェ山

パプアニューギニア南部山岳州にそびえるギルウェ山は、海抜4,367メートルに達する山で、同国ではウィルヘルム山に次いで2番目に高く、ニューギニア島全体でも5番目の高峰に数えられます。特に注目すべきは、この山がオーストラリア大陸およびオセアニア地域において最も高い火山であるという点です。ギルウェ山は古い楯状火山として知られ、山頂部は広々とした高山ツンドラの草原に覆われています。その独特な地形は、太古の岩頸（火山の噴火管に詰まった溶岩が固まったもの）によって形成された二つの顕著な山頂を特徴としています。中央に位置する山頂が最高峰であり、そこから東へおよそ2キロメートル離れた地点には、標高4,300メートルのもう一つの山頂が存在します。

ギルウェ山の地質史は非常に興味深いものです。この山はもともと、今からおよそ65万年から80万年前にかけて形成された、現在の山頂とほぼ同じ高さを持つ成層火山を起源としています。しかし、その後の更新世（約258万年前〜1万1700年前）には激しい氷河作用に見舞われ、山頂部が大きく侵食されました。この侵食によって、硬い岩頸が残され、現在の特徴的な山頂地形が形作られました。さらに、約22万年から30万年前にかけて発生した大規模な火山活動によって、現在の広範な盾状の山体（傾斜が緩やかで裾野が広い火山）が形成されました。この時期の噴火活動には、氷河の下で発生したことを示唆する証拠としての溶岩流も確認されています。最終氷期（最後の氷期）には、ギルウェ山の上部斜面は厚さが150メートルを超える巨大な氷帽（山を覆う氷塊）によって覆い尽くされていました。この氷帽の表面から、主峰と東峰だけがヌナタク（氷帽から突き出た岩峰）として姿を見せていました。当時の氷帽は最大で直径が15キロメートルを超え、100平方キロメートル以上の広大な面積を覆っていたと推定されています。そこから流れ出していた氷河は、長さが3,200メートルから3,500メートルにも及び、その活動の痕跡としてティルやモレーンといった様々な堆積物を周囲に残しました。これらの氷河は現在ではすべて消失していますが、かつての氷河によって削られた多数の圏谷（カール、氷河の侵食でできた半円形の谷）やU字谷（氷河の侵食でできた底がU字状の谷）といった地形が今もなお鮮やかに残されています。現在でも、標高がおよそ3,400メートルを超える山上部では、時折ではありますが、夜間に霜が降りたり、雪が観測されたりすることがあります。

ギルウェ山の存在が外部に知られるようになったのは比較的最近のことです。1934年、オーストラリアの探検家であったミック・レーヒーとその兄弟であるダン・レーヒーが、西洋人として初めてこの地域に足を踏み入れ、ギルウェ山を発見し、その頂に到達しました。しかし、翌1935年になると、別の探検家であるジャック・ハイズが自分が最初にギルウェ山を発見したと主張し、独自にこの山を「ミナレット山」と名付けました。この発見をめぐる論争を解決するため、ミック・レーヒーは1935年にイギリスに渡り、権威ある王立地理学会にこの二つの主張についての聴聞会を開くよう働きかけました。レーヒーは1935年11月21日に学会で自らの探検について演説を行い、その結果、翌年、王立地理学会はレーヒーの功績を認め、彼にマーチンソン賞を授与しました。また、学会誌上でもレーヒーによるギルウェ山の発見が正式に発表され、この論争に終止符が打たれました。

ギルウェ山は、その地理的な重要性、複雑な地質形成史、そして探検の歴史といった多角的な側面を持つ、パプアニューギニアを代表する山のひとつと言えるでしょう。

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