クァドラングル

クァドラングル：ベルモントの栄光と、その後の足跡

クァドラングル(1961年4月16日-1978年9月28日)は、アメリカ合衆国で活躍したサラブレッド競走馬にして、後に種牡馬としても成功を収めた名馬です。1964年のベルモントステークス制覇が彼の名を競馬史に刻み込みました。

華々しいデビューとクラシックへの挑戦

バージニア州のロークビー牧場で、ポール・メロン氏によって生産されたクァドラングルは、エリオット・バーチ調教師の指導の下、競走生活をスタートさせました。2歳時には6戦3勝という好成績を残し、ピムリコフューチュリティで優勝するなど、早くからその才能の片鱗を見せていました。

3歳となったクァドラングルは、ウッドメモリアルステークスの勝利を皮切りに、クラシック三冠への挑戦を表明。当時、サンタアニタダービーを制したヒルライズ、シャンペンステークス優勝馬のローマンブラザー、そしてカナダの強豪フロリダダービー馬ノーザンダンサーなど、錚々たるライバルがひしめく中、クァドラングルも三冠レースに挑みました。しかし、ケンタッキーダービーではスタートで出遅れて5着、プリークネスステークスでもノーザンダンサーに敗れ4着に終わりました。

ベルモントステークス制覇：ノーザンダンサーとの激闘

三冠レースでの敗戦後、バーチ調教師はクァドラングルをベルモントステークス前にメトロポリタンハンデキャップに出走させました。古馬相手に2着と健闘し、ベルモントステークスへの期待感を高めました。

1964年6月6日、61,215人の観衆が詰めかけたベルモントパーク。ノーザンダンサーの三冠がかかったこのレースで、クァドラングルはブリンカーを外して臨みました。鞍上はマヌエル・イカサ。レースはスローペースで進み、クァドラングルは内ラチ沿いを丁寧に走ります。バックストレッチではヒルライズとノーザンダンサーが激しい競り合いを展開する中、イカサはクァドラングルを先頭に立たせました。ノーザンダンサーも追い上げてきましたが、残り2ハロンでクァドラングルが突き抜け、2分28秒40の好タイムで優勝。2着ローマンブラザーに2馬身差をつけ、ノーザンダンサーは4馬身差の3着に敗れました。

輝かしい活躍と屈腱炎

ベルモントステークス勝利後も、クァドラングルはドワイヤーハンデキャップ、ローレンスリアライゼーションステークス、トラヴァーズステークスなどで優勝を飾り、その年の活躍ぶりは目覚ましいものがありました。秋にはウッドワードステークスで当時の強豪ケルソやガンボウと対戦し、3着に入る健闘を見せました。しかし、1964年末に屈腱炎を発症し、長期休養を余儀なくされます。復帰後も以前の輝きを取り戻すことができず、1965年春を最後に現役を引退しました。

種牡馬としての成功

1966年、クァドラングルはバージニア州のブルーリッジ牧場で種牡馬入りしました。アメリカジョッキークラブの記録によると、309頭の産駒のうち193頭が勝ち上がり、25頭がステークス競走を制覇しています。特に有名な産駒は、1969年生のメス馬スーザンズガールです。彼女はケンタッキーオークスなど29勝を挙げ、アメリカ競馬殿堂入りを果たしています。他にも、クレアーブリッジ（サクラチトセオー、サクラキャンドルの祖母）、スクウェアエンジェル（1973年カナダ最優秀3歳牝馬）、エンジェルライト（ウッドメモリアルステークスでセクレタリアトとシャムを破った）、スマートエンジェル（1979年アメリカ最優秀2歳牝馬）など、数々の優秀な競走馬を輩出しました。

永遠の眠り

1978年、脚を骨折したため、安楽死の処置がとられました。クァドラングルの競走馬としての活躍、そして種牡馬としての成功は、アメリカ競馬史に大きな足跡を残しました。彼の血統は、現在も多くのサラブレッドに受け継がれ、その偉大な功績はこれからも語り継がれていくでしょう。

もう一度検索