クィントゥス・ファビウス・マクシムス・ルリアヌス

クィントゥス・ファビウス・マクシムス・ルッリアヌスは、共和政ローマ時代に活躍した名門ファビウス氏族出身の軍人であり、政治家です。紀元前4世紀から3世紀にかけて、ローマの拡大に大きく貢献しました。

初期の活躍と独裁官との対立

ファビウスが歴史に登場するのは、紀元前325年、独裁官の副官であるマギステル・エクィトゥムとして、サムニウム人との戦いで勝利を収めた時です。しかし、この時の行動は独裁官ルキウス・パピリウス・クルソルの権限を侵すものでした。パピリウスは元老院にファビウスの処罰を求め、緊迫した議論が繰り広げられました。ファビウスの活躍によって勝利はもたらされたものの、独裁官の権限を無視した行為は元老院の権威を軽視するものとみなされ、最終的にはファビウスが謝罪することで事態は収束しました。

執政官としての活躍

紀元前322年、ファビウスは最初の執政官に就任しました。その後も紀元前315年には独裁官としてサティクラを包囲し、ラウタラエでの戦いで勝利を収めました。ディオドロスは紀元前313年にもファビウスが独裁官になったと記述していますが、これは疑問視されています。紀元前310年には、二度目の執政官としてエトルリアとの戦いで勝利し、シミニアンの森まで敗走した敵を降伏させました。紀元前308年には、三度目の執政官としてペルシアやヌケリア・アルファテルナを攻略しました。

監察官としての功績とマクシムスの称号

紀元前304年には監察官を務めました。同僚は執政官時代の同僚であるプブリウス・デキウス・ムスです。ファビウスは、アッピウス・クラウディウス・カエクスが実施した、解放奴隷ら無産市民を全てのトリブスに登録するという措置を改め、ローマ市内の4つの都市トリブスのみに登録し直しました。この改革は市民から非常に感謝され、彼は「マクシムス」の尊称を得ることになりました。この「マクシムス」はラテン語で「最高」を意味し、ファビウス氏族の中でも特に活躍した人物に与えられる称号となりました。

さらなる戦いと名声の確立

紀元前297年には、四度目の執政官としてティフェルヌムの戦いでサムニウムを破りました。さらに、紀元前295年には、五度目の執政官としてセンティヌムの戦いでエトルリア、サムニウム、ガリア連合軍を打ち破り、その名声を不動のものとしました。これらの戦いでの勝利は、ローマの勢力拡大に大きく貢献しました。

子孫への影響

ファビウスの息子も同名のクィントゥスで、「グルゲス」という二つ名を持ち、執政官を二度務めました。また、曾孫のファビウス・マクシムス・クンクタトルは、第二次ポエニ戦争で活躍し、その名を知られています。ファビウス一族は代々「マクシムス」の称号を名乗り、その功績を称えました。

歴史的記録の課題

ファビウスの功績は目覚ましいものですが、彼に関する記録は比較的少ないのが現状です。リウィウスはクィントゥス・ファビウス・ピクトルの著作を引用していますが、多くの場面で曾孫クンクタトルの記録との類似が見られるため、その信憑性には疑問も残されています。

クィントゥス・ファビウス・マクシムス・ルッリアヌスは、その卓越した軍事的才能と政治手腕により、共和政ローマの歴史において重要な役割を果たしました。彼の功績は、後の時代にも大きな影響を与え、ローマの繁栄を支える礎となりました。

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