クィントゥス・ペティリウス・ケリアリス

クィントゥス・ペティッリウス・ケリアリス・ルフス：フラウィウス朝を支えた軍人

クィントゥス・ペティッリウス・ケリアリス・カエシウス・ルフス（Quintus Petillius Cerialis Caesius Rufus, 30年頃 - 83年以降）は、フラウィウス朝時代のローマ帝国の軍人であり、政治家です。彼は、養子縁組によってペティッリウス氏族に入ったと考えられています。妻フラウィアは、ウェスパシアヌス帝の姉にあたります。

生涯

ケリアリスが歴史に登場するのは、ブリタンニア長官ガイウス・スエトニウス・パウリヌスの下で、第9軍団ヒスパナの使節として勤務した時です。しかし、60年に発生したブーディカ女王率いるイケニ族の反乱では、カムロドゥヌム（現在のコルチェスター）奪還に失敗し、大敗を喫しました。

その後、オスティア総督を務めていたケリアリスは、皇帝を宣言したウェスパシアヌスの親族として、内戦時にはアウルス・ウィテッリウスの人質となりました。しかし、混乱に乗じて脱出し、機動部隊を率いてウェスパシアヌスのローマ進軍を支援しました。

皇帝となったウェスパシアヌスは、ケリアリスを信頼し、第14軍団ゲミナの指揮権を与え、紛争が頻発するゲルマニア・インフェリオルに派遣しました。70年、ケリアリスは、内戦に呼応して発生したゲルマン民族バタウィ族のガイウス・ユリウス・キウィリスが率いる反乱を鎮圧し、ウェスパシアヌスの期待に応えました。

71年、ケリアリスはブリタンニア長官に就任し、第2軍団アディウトリクス・ピア・フィデリスを率いて赴任しました。彼の補佐役は、第20軍団ウァレリア・ウィクトリクスの司令官グナエウス・ユリウス・アグリコラが務めました。ケリアリスはブリタンニア北部でブリガンテス族を討伐するなどの功績を挙げ、74年にはローマに帰国し、執政官に就任しました。

83年には再び執政官として、皇帝ドミティアヌスに仕えました。

人物評

タキトゥスは、ケリアリスを慎重というよりは豪快な軍人と評しています。彼の戦い方は、一度の戦闘に物資を全て投入するような大胆さがありました。また、兵士の士気を高める飾り気のない演説に長けており、上官への忠誠心は揺るぎなかったと伝えられています。

参考文献

タキトゥス『年代記』14.32
タキトゥス『同時代史』3.59, 4.71-79, 4.86
* タキトゥス『アグリコラ』8, 17

もう一度検索