クビライ (バルラス部)

クビライ・ノヤンは、モンゴル帝国初期に活躍した将軍であり、チンギス・カンの功臣として知られる「四狗」の一人です。名前は「忽必来」「虎必来」などと漢字表記され、「ノヤン」の称号を付してクビライ・ノヤンとも呼ばれました。ただし、後のモンゴル帝国第5代皇帝（カアン）であるクビライとは、同名の別人です。

出自と初期の活躍

バルラス部出身のクビライは、チンギス・カンがジャムカと袂を分かった後、弟のクドスと共にチンギス・カンの陣営に加わりました。『元朝秘史』によれば、クビライは並外れた腕力と勇猛さを持っていたと伝えられています。

モンゴル高原統一における数々の戦いでは、常に先鋒を務め、「四匹の狗」の一人としてその名を馳せました。特に1204年のナイマン部族との戦いでは、ジェベ、ジェルメ、スブタイらと共に先鋒として活躍し、大きな戦功を挙げました。

千人隊長として

1206年、チンギス・カンの第二次即位における功臣表では第8位に名を連ね、弟のクドスと共に千人隊長（ミンガン）に任ぜられました。これにより、モンゴル帝国を構成する95個の千人隊を率いる貴族の一人となり、遊牧民集団を領有することになりました。また、チンギス・カンはその功績を高く評価し、軍務を統括する役割を与えたとされています。

中央アジア遠征においては、チンギス・カンに先んじてカルルク部族を討伐し、オアシス都市群を服属させるという功績を挙げました。

晩年と子孫

チンギス・カンが高齢になると、庶子のコルゲンの王傅に任ぜられ、チャカアン・コアの息子であるトグリルらと共に、コルゲンに分封された四千戸（4個千人隊）のうちの千人隊長となりました。クビライの子孫は大元ウルスのテムルに仕えたとされています。

参考文献

志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
村上正二訳注『モンゴル秘史 1巻』平凡社、1970年
* 村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年

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