グリーンデザート

グリーンデザート：輝ける競走馬から名種牡馬へ

グリーンデザートは、アメリカで生まれ、イギリスで競走馬としてのキャリアを積んだサラブレッドです。その名を世界に知らしめたのは、1986年のジュライカップ制覇。ウォルター・スウィンバーン騎手とのコンビで掴んだG1タイトルは、彼の競走馬としての頂点を象徴する出来事となりました。

華麗なる現役時代

1985年、2歳でデビューを果たしたグリーンデザート。デビュー戦こそ2着に敗れましたが、続くジュライステークス（G3）で初勝利を飾ります。しかも、いきなり重賞制覇という鮮やかなスタートを切りました。その後もフライングチルダーズステークス（G2）を制し、2歳シーズンは5戦2勝という成績で幕を閉じました。

翌1986年には、クラシック路線に挑戦。ヨーロピアンフリーハンデキャップを制し、勢いそのままに挑んだ2000ギニーでは、名馬ダンシングブレーヴに惜しくも2着。続くアイリッシュ2000ギニーでは6着と結果を残せず、セントジェームズパレスステークスでも2着に終わりました。そこで、グリーンデザートはマイル路線からスプリント路線への転向を決定します。

この決断がグリーンデザートの運命を大きく変えました。スプリント路線初戦となったジュライカップで、彼は見事にG1初制覇を達成。続くスプリントチャンピオンシップでは3着と健闘し、スプリントカップでも勝利を収めます。アベイ・ド・ロンシャン賞では4着、ブリーダーズカップ・スプリントでは9着という結果で現役生活に幕を閉じました。

種牡馬としての成功

1987年からは、イギリスのシャドウェルスタッドで種牡馬としてのキャリアがスタート。初年度の種付け料は2万5千ポンドでした。2011年まで種牡馬として活躍し、数々の名馬を輩出しました。Desert Prince、シンコウフォレストなど、主にスプリントからマイルで活躍する産駒たちが、彼の遺伝子の素晴らしさを証明しています。

さらに、グリーンデザートの血を受け継いだ後継種牡馬たちも大成功を収めています。Cape Cross、Oasis Dream、Invincible Spiritなど、数々の活躍馬を送り出し、ダンジグ系の種牡馬として、デインヒルに次ぐ勢いで父系を広げていきました。

グリーンデザートの産駒は、世界各地の競馬場で活躍し、多くのタイトルを獲得。その中には、ジュライカップ、高松宮記念、アイリッシュ2000ギニー、ムーラン・ド・ロンシャン賞などの重賞勝ち馬も含まれています。母の父としての活躍も目覚ましく、Almutawakel、Pipalong、Makfiなど、世界的な名馬を輩出しました。

2015年、グリーンデザートは老衰により安楽死。しかし、その偉大な功績は、多くの産駒と後継種牡馬を通じて、現代競馬に生き続けています。彼の血統は、世界中の競馬ファンに感動と興奮を与え続けているのです。

代表的な産駒

Sheikh Albadou: ナンソープステークス、ブリーダーズカップ・スプリント、スプリントカップ優勝馬
Owington: ジュライカップ優勝馬
シンコウフォレスト: 高松宮記念優勝馬
Cape Cross: ロッキンジステークス優勝馬
Desert Prince: アイリッシュ2000ギニー、ムーラン・ド・ロンシャン賞、クイーンエリザベス2世ステークス優勝馬
Tamarisk: スプリントカップ優勝馬
White Heart: チャールズウィッティンガムメモリアルハンデキャップ、WRターフクラシック優勝馬
メジロダーリング: 函館スプリントステークス、アイビスサマーダッシュ優勝馬
Invincible Spirit: スプリントカップ優勝馬
Rose Gypsy: プール・デッセ・デ・プーラン優勝馬
Heat Haze: ビヴァリーD.ステークス、メートリアークステークス優勝馬
Desert Lord: アベイ・ド・ロンシャン賞優勝馬
Oasis Dream: ミドルパークステークス、ジュライカップ、ナンソープステークス優勝馬
Markab: スプリントカップ優勝馬

この他にも多数の活躍馬を輩出し、その血統は現代競馬に大きな影響を与え続けています。

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