ケープカナベラル宇宙軍施設

ケープカナベラル宇宙軍施設（Cape Canaveral Space Force Station, CCSFS）は、アメリカ合衆国フロリダ州のメリット島に位置する、アメリカ宇宙軍の施設です。ここは、アメリカ国防総省が管轄する宇宙ロケット打ち上げ基地であり、その歴史はアメリカの宇宙開発史と深く結びついています。

2020年12月9日、この施設はアメリカ空軍から宇宙軍に移管され、名称もケープカナベラル空軍基地（Cape Canaveral Air Force Station, CCAFS）から現在の名称に変更されました。施設は、隣接するケネディ宇宙センター（John F. Kennedy Space Center, KSC）とともに、アメリカ東部宇宙ミサイルセンターを構成しています。ケネディ宇宙センターが有人ロケットの打ち上げを主に行うのに対し、ケープカナベラル宇宙軍施設は、アトラス、タイタン、デルタといった無人ロケットの打ち上げを主に担当しています。

この基地は、近隣のパトリック宇宙軍基地に司令部を置く、第45宇宙航空団によって運用されています。

歴史

ケープカナベラル宇宙軍施設の歴史は、1949年に当時のハリー・S・トルーマン大統領が、長距離ミサイル発射実験用の統合長射程試験基地を設置したことに始まります。この地が選ばれた理由は、アメリカ国内でも赤道に近く、地球の自転速度を有効に利用できる点にありました。また、東に大西洋が開けているため、ロケット打ち上げ時に分離された部品の落下や事故による被害を最小限に抑えられるという利点も考慮されました。その後、基地は空軍に移管され、1951年にはアメリカ空軍のミサイル・テストセンターが設置され、ケープカナベラル空軍基地となりました。

1949年には最初のロケット発射が行われました。ソビエト連邦によるスプートニク1号の打ち上げ成功を受けて、1957年12月にはアメリカ初の海軍による軌道衛星打ち上げロケット「ヴァンガード」が実験されましたが、これは失敗に終わりました。1958年にNASAが設立され、ケープカナベラルが主要な発射基地になると、アメリカのミサイル発射実験や初期の弾道ロケットの打ち上げがここで行われるようになりました。

宇宙開発競争が活発化するにつれて基地は拡張され、1960年代には大型ロケット打ち上げ施設であるLC40やLC41が建設されました。また、隣接するケネディ宇宙センターも整備拡張されました。ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺後、ケープカナベラルの地名がケープケネディと改名されましたが、地元住民の要望により1973年に元のケープカナベラルに戻されました。

現在、ケープカナベラル宇宙軍施設は、NASAのほか、軍用の使い捨て型ロケットの発射場として利用されています。

逸話

この東部宇宙ミサイルセンターには飛行場はありませんが、発射路（Skid Strip）が存在します。これは水平方向に発射する巡航ミサイルの射出施設として建設されたものですが、実際には飛行機の発着にも利用されています。

施設

ケープカナベラル宇宙軍施設には、以下の施設があります。

発射路（Skid Strip）
格納庫（Hangar） - 発射路とバナナ川を渡る橋の間
灯台（Cape Canaveral Lighthouse）
マーキュリー管制センター（Mercury Control Center）
空軍宇宙・ミサイル博物館（旧 LC-26）

現役の発射施設

ケープカナベラル宇宙軍施設には、以下の現役の発射施設があります。

ケープカナベラル宇宙軍施設第37発射施設（SLC-37）
ケープカナベラル宇宙軍施設第40発射施設（SLC-40）
ケープカナベラル宇宙軍施設第41発射施設（SLC-41）

ケネディ宇宙センターの発射施設

ケネディ宇宙センターには、以下の発射施設があります。

ケネディ宇宙センター第39発射施設（LC-39A～C）

関連項目

ケープ・カナベラル
メリット島の発射施設一覧
マーキュリー計画
エクスプローラー1号 - 1958年にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたアメリカ初の人工衛星。
アメリカ合衆国国家歴史登録財 - 1984年4月16日に登録された（参照番号：84003872）
カナベラル港 - ケープカナベラル空軍基地の南にある港

外部リンク

第45宇宙航空団 (英語)
* ケープカナベラル空軍基地バーチャルツアー (英語)

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