セラ寺

セラ寺（セラじ）

セラ寺は、チベット仏教ゲルク派の六大寺院の一つで、ラサ三大寺（ガンデン寺、デプン寺、セラ寺）としても知られています。ラサ北部に位置し、15世紀初頭にジャムヤン・チュジェ・サキャイェーシェーによって創建されました。

歴史

チベット動乱以前

1419年、高僧ジャムヤン・チュジェ・サキャイェーシェーによって建立されました。この寺院は、ダライ・ラマ10世と11世の時代に25年間チベットの摂政を務めたツェモンリン・ンガワン・ジャンベル・ツルティムの出身寺院としても有名です。また、日本の仏教学者である河口慧海や多田等観も、ここでチベット仏教を学びました。

中華人民共和国時代

1959年のチベット動乱により、寺院組織とその多くの僧侶がチベットを脱出し、南インドのカルナタカ州マイソールで伽藍を再建し、活動を続けています。一方、ラサ北郊の旧伽藍では、チベットに残った僧侶を中心に、1980年代に僧院組織が再建され、寺院としての活動が再開されました。1982年には、中華人民共和国政府によって全国重点文物保護単位に認定されています。

歴代座主

セラ寺の歴代座主は以下の通りです。

開山：シャキャイェシェ
第2代：タルギェサンボ
第3代：ギェンツェンサンボ
第4代：タシギャムツォ
第5代：ロドリンチェンセンゲ
第6代：ネーテンパ
第7代：ラプチュージェ
第8代：ニェルトン・ペンジョルルンドゥプ
第9代：マント・ペルデンロド
第10代：ジャムヤン・トゥンユーペルデン
第11代：ゲンドゥンギャムツォ（ダライ・ラマ2世）
第12代：セラジェプツン・チューキゲンツェン
第13代：パンチェン・ソナムタクパ
第14代：チュータクサンボ
第15代：ソナムギャムツォ（ダライ・ラマ3世）
第16代：トンコルチュージェ・ユンテンギャムツォ
第17代：ユンテンギャムツォ（ダライ・ラマ4世）
第18代：ロサンチューキゲンツェン（パンチェン・ラマ4世）
第19代：ロサンギャムツォ（ダライ・ラマ5世）

以降、セラ寺の座主職は、化身ラマの名跡である「ダライ・ラマ」の指定席となっています。

幼児連れの参詣

セラ寺では、幼児や子供連れの参詣がよく見られます。大人と一緒に列に並び、順番が来ると、鼻に魔除けの黒墨を塗られた幼児や子供たちが僧侶から直接祝福を受けます。これは、セラ寺に祀られているタムディン（馬頭観音）が幼児の健康を守ると信じられているためです。

参考文献

sum pa ye shes dpal 'byor, chos 'byung dpag msam ljon bzang, ken su'u mi rig dpe skurn khang, 1992（松巴堪欽『松巴佛教史』甘民族出版社, ISBN 7-5421-0085-8）
* ロラン・デエ 著、今枝由郎 訳『チベット史』春秋社、2005年4月。ISBN 4-393-11803-0。

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