コトル級フリゲート

コトル級フリゲート

コトル級フリゲートは、かつて存在したユーゴスラビア社会主義連邦共和国海軍が運用した艦艇です。この艦級は、ユーゴスラビア国内のチトー造船所（現在のクロアチア領）において、2隻が建造されました。

設計

本級の設計と建造は、全てユーゴスラビア国内で実施されました。全体的な設計の基盤は、ユーゴスラビア海軍でも既に使用されていたソ連製のコニ型フリゲートに置かれています。しかし、特に上部構造物に関しては、原型から大幅な変更が加えられています。

機関部には、複合機関方式であるCODAG（コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン）が採用されています。これは、ソ連製のガスタービンエンジンとフランス製のディーゼルエンジン2基を組み合わせた構成となっています。

主要なセンサーとしては、マストの最上部にFバンドを使用する対空・対水上捜索レーダーであるソ連製MR-302 ルブカ（NATOコードネーム「ストラット・カーブ」）が搭載されています。その他にも多くのソ連製センサーが用いられていますが、主砲や艦対艦ミサイルの射撃を管制するレーダーには、特筆すべき点として、フィリップス社（現在のSAAB）製の9LV200システムが導入されました。

兵装

艦首には、主要な火器としてAK-726 59口径76mm連装砲が装備されています。近距離での対空防御のため、上部構造物の両側面には、AK-230 65口径30mm連装機関砲が搭載されました。対艦ミサイルとしては、P-15M（NATOコードネーム「SS-N-2C スティックス」）が採用されており、艦橋構造物の付近、両舷に単装の発射筒がそれぞれ2基ずつ、前方を指向して設置されています。対空ミサイルは、4K33（NATOコードネーム「SA-N-4 ゲッコー」）が搭載されており、これは上部構造物の後端近くに格納式の連装発射機1基として配置されています。対潜水艦兵器としては、艦橋の前方にRBU-6000対潜ロケット発射機が2基据え付けられています。加えて、防御システムとして、ワロップ社製のバリケード チャフ発射機が2基搭載されています。

運用史

コトル級フリゲートは、1986年と1988年にユーゴスラビア海軍に就役し、当初はスプリトを拠点としていました。ユーゴスラビア紛争の発生後は、後継国家であるユーゴスラビア連邦共和国、セルビア・モンテネグロを経て、最終的にモンテネグロ海軍の所属となりました。それに伴い、母港もティヴァト（1992年から2008年）、バール（2008年以降）と変更されました。就役期間の後半には、ミサイル兵装や対潜ロケット発射機は使用されなくなり、艦艇は主に哨戒任務に用いられました。また、当初の艦名である「コトル」や「プーラ」は公式には使用されなくなり、艦番号（P-33、P-34）のみで識別されるようになりました。

2000年には近代化改修が実施され、戦闘情報システムが新たに搭載されました。P-34は、2003年にイタリア海軍との合同演習に参加し、2007年にはADRION（アドリア海・イオニア海イニシアチブ）に関連してギリシャ沖で活動しました。さらに、2009年と2010年にはモンテグロ近海で、アメリカ、フランス、ドイツ、トルコの各国海軍艦艇との合同演習に参加しています。

モンテネグロ海軍の規模に対して、本級は能力が過大であり、運用維持にかかる費用も高額でした。これらの理由から、コトル級の2隻は2019年に揃って退役しました。

建造された同型艦は2隻のみです。

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