ティヴァト

ティヴァト：モンテネグロのコトル湾に輝く港町

ティヴァトは、モンテネグロのコトル湾沿岸に位置する魅力的な町です。その歴史は古く、紀元前3世紀に遡ると言われています。イリュリア人の女王テウタに由来するという説や、聖テオドロス、ケルト語のToutoなど、その名の起源には諸説あります。14世紀から15世紀にかけて公式な記録に登場し始めました。

歴史：多様な支配者の下で発展

ティヴァトは、ネマニッチ家、バルシッチ家、ツルノイェヴィッチ家、ヴェネツィア共和国、フランス、オーストリア＝ハンガリー帝国など、様々な勢力によって支配されてきました。中世にはコトルの貴族にとって肥沃な土地であり、多くの財産や城が存在しました。特にブチャ家は裕福で、現在でも美術館としてその邸宅が残っています。

1420年から1797年まではヴェネツィア共和国の支配下に入り、アルバニア・ヴェネタの一部となりました。19世紀後半にはオーストリア＝ハンガリー帝国が海軍の軍需工場を建設し、軍事的な拠点としての性格を帯び始めます。ユーゴスラビア社会主義連邦共和国時代には陸軍基地として使用され、現在もモンテネグロ陸軍が一部を使用しています。

ポルト・モンテネグロ：アドリア海のモナコへ

かつて海軍基地として利用されていた場所は、カナダ人実業家ピーター・ムンクによって「アドリア海のモナコ」として生まれ変わりました。彼はマリーナ「ポルト・モンテネグロ」を建設し、豪華ヨットが停泊する港として整備しました。現在では軍事的な要素は薄れ、観光客や富裕層が集まるリゾート地となっています。

地理：自然豊かな環境

ティヴァトはヴルマツ山麓、ボカ地域の中心に位置しています。市内にはティヴァト空港があり、近隣にはルシュティツァ半島が広がっています。空港の南には塩田があり、多様な動植物が生息しています。オグロシギ、ダイシャクシギ、メジロガモなどの鳥類や、バルカンヘビガタトカゲ、アカウミガメなどの動物を見ることができます。この塩田は2013年にラムサール条約登録地となりました。

住民：多様な民族構成

ティヴァトの住民は、モンテネグロ人、クロアチア人、セルビア人など、多様な民族で構成されています。ユーゴスラビア時代にはユーゴスラビア人を自称する人も多くいましたが、独立後は民族構成に変化が見られます。

旅行：アドリア海の拠点

ティヴァトは、セルビア人旅行者にとってアドリア海航海の経由地として人気があります。マリーナやヨットクラブが整備されており、ヨット愛好家にとっては魅力的な場所です。ピーター・ムンクが建設した造船所は豪華客船の停泊地となり、周辺にはゴルフ場やスヴェティ・マルコ島などの観光スポットがあります。

交通：空、海、陸のアクセス

ティヴァトにはアドリア海沿岸道路が通っており、ブドヴァやストモレなど、他の沿岸都市へのアクセスも便利です。モンテネグロ港からは船便が利用でき、ティヴァト空港からは国内外へのフライトが運航しています。

姉妹都市：国際的な繋がり

ティヴァトは、イタリアのチヴィタヴェッキア、セルビアのスレムスキ・カルロヴツィ、ロシアのアレクシンと姉妹都市提携を結んでいます。

ティヴァトは、歴史、自然、そして現代的な魅力が融合した、アドリア海沿岸の美しい町です。モンテネグロを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

もう一度検索