コネ (会社)

コネ株式会社：グローバルエレベーター業界のリーディングカンパニー

コネ株式会社（KONE Oyj）は、フィンランド・エスポーに本社を置く、エレベーター、エスカレーター、動く歩道、自動ドアの設計、製造、販売、保守サービスを世界規模で展開する多国籍企業です。ナスダック・ヘルシンキ証券取引所に上場しており、世界60カ国以上に拠点を持ち、ビル建設業者、建築家、ビルオーナーなど幅広い顧客層にサービスを提供しています。

100年を超える歴史と技術革新

コネの歴史は1908年、ヘルシンキで創業された機械修理店に遡ります。1910年に「コネ」（フィンランド語で「機械」の意）として法人化。フィンランド独立後の1918年には、最初のエレベーターをヘルシンキ市内に納入しました。当初はGottfr. Strömberg Oyの子会社でしたが、親会社の経営破綻後、実業家ハラルド・へルリンが買収し、現在もへルリン一族が主要株主として関与しています。

1930年代にはフィンランド国内のエレベーター製造でトップシェアを獲得しましたが、国内市場の限界からクレーン製造にも進出。第二次世界大戦中は兵器製造も行いながら、エレベーターとクレーンの製造を継続しました。戦後、ソビエト連邦への賠償として多くの製品を輸出する一方、自動ドアの製造も開始しました。

1960年代以降は積極的な買収戦略により、企業規模を急速に拡大させました。スウェーデンのアセア（現ABB）やウェスティングハウス・エレクトリックのエレベーター事業を買収し、ヨーロッパ市場で主要企業としての地位を確立。エスカレーター製造にも進出し、パリのガルニエ宮やラ・デファンスなど、世界的に有名な建築物にもコネの製品が採用されました。

1990年代には事業の選択と集中に取り組み、クレーン事業を分社化。同時に、アメリカのMontgomery Elevator Companyを買収することでアジア市場への進出を図り、ドイツのO&K Rolltreppenを買収してエスカレーター事業を強化しました。1996年には世界初の機械室不要エレベーターを開発、中国への進出も加速させました。

21世紀に入ってからも、コネは成長を続けました。フォークリフトメーカーであるパルテックを買収したのち、カーゴテックとして分社化。サウジアラビアの超高層ビル「ジッダ・タワー」のエレベーター納入契約を締結するなど、超高層ビル建設にも積極的に関わっています。また、IBMとの提携によりIoT技術をエレベーター・エスカレーターに導入するなど、技術革新にも取り組んでいます。

日本市場との関わり

日本市場においては、1998年に東芝エレベータとの戦略的提携関係を締結。東芝エレベータはコネの機械室不要エレベーターのライセンス生産を開始し、大江戸線環状部の駅へのエレベーター一括納入なども行いました。両社は資本提携も行い、ダブルデッキエレベータの共同開発など、密接な関係を築きました。しかし、2015年には東芝グループの財務状況を鑑み、東芝エレベータが保有するコネ株式を売却しました。コネは日本市場から撤退しましたが、東芝エレベータとの関係は持株会社を通じて継続し、保守点検サービスなどを提供しています。部品供給の遅延によるトラブルも発生しており、今後の課題となっています。

コネの未来

コネは、エレベーター業界のグローバルリーダーとして、技術革新、持続可能な開発、顧客満足度の向上に継続的に取り組むことで、未来の都市開発に貢献し続けていくでしょう。

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