コリン・マシューズ

1946年 2月13日、ロンドンに生まれたコリン・マシューズは、現代イギリス音楽界を代表する作曲家の一人である。作曲活動に加え、音楽学者、音楽プロデューサーとしても多大な貢献を果たしてきた。作曲家・音楽学者として活躍する兄デイヴィッド・マシューズもまた、音楽界ではよく知られた存在である。

人物とキャリア

マシューズはノッティンガム大学で古典学を修めた後、アーノルド・ウィットールとニコラス・モーのもとで作曲を学んだ。1970年代にはサセックス大学で教鞭を執り、その傍らで特筆すべき業績として、兄デイヴィッド、デリック・クックと共にグスタフ・マーラーの未完の『交響曲第10番』の実用版を完成させた。この功績が認められ、サセックス大学から博士号を授与されている。また、この時期にはオールドバラ音楽祭でベンジャミン・ブリテンやイモージン・ホルストといった重要な音楽家たちとも協力関係を築いた。

作曲家としての評価は着実に高まり、1975年には『管弦楽のためのソナタ第4番』でスコティッシュ・ナショナル管弦楽団のイアン・ホワイト賞を受賞。主要な管弦楽曲には、『夜の音楽』（1976年）、『管弦楽のためのソナタ第5番「ランドスケープ」』（1977年-1978年）、BBCからの委嘱による『チェロ協奏曲第1番』（1984年、プロムスにて初演）などがあり、『ソナタ第5番』と『チェロ協奏曲第1番』は録音も発表されている。

1992年から1999年にかけて、マシューズはロンドン交響楽団の提携作曲家を務め、数多くの作品が同楽団によって初演された。ベルナルト・ハイティンク指揮による『行列』（1989年初演）、マイケル・ティルソン・トーマス指揮による『カトレーン』、子供音楽祭で初演された『機械と夢』（1991年）、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチが初演した『追悼』（1993年）や『チェロ協奏曲第2番』（1996年）などが挙げられる。また、ロンドン交響楽団とニューワールド交響楽団の共同委嘱で作曲された管弦楽版“Hidden Variables”は、1992年にマイアミでマイケル・ティルソン・トーマスによって初演された。同年、クリーヴランド管弦楽団は『機械と夢』の米国初演を行った。コリンズ・レーベルは、マシューズの生誕50周年を記念し、1996年にロンドン交響楽団による委嘱作品を集めたCDをリリースしている。

BBCはマシューズに多くの作品を委嘱しており、その一つである『崩されたシンメトリー』は1992年3月にオリヴァー・ナッセン指揮BBC交響楽団によって初演され、同年のプロムスでも再演された。この作品と『管弦楽のためのソナタ第4番』、『恒星の踊り』を収録したドイツ・グラモフォンのCDはグラミー賞にノミネートされている。また、BBCラジオ第3放送の開局50周年を記念して委嘱された合唱と管弦楽のための大作『新生』は、1997年にロイヤル・フィルハーモニック協会賞を受賞した。1998年12月にはリッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団により『行列』のオランダ初演が実現。1999年12月のロイヤル・オペラ・ハウス再開に向けて、ロイヤル・バレエ団は新作“Unfolded Order”を組み込んだバレエ版“Hidden Variables”を委嘱した。

管弦楽曲以外にも、3曲の弦楽四重奏曲、2曲のオーボエ四重奏曲、1982年の『複弦楽四重奏のためのディヴェルティメント』といった室内楽作品、多数のピアノ曲がある。1984年から1985年にかけては、6つの合奏曲の大作が完成され、特にロンドン・シンフォニエッタのために書かれた『恒星の踊り』（1985年、後にロイヤル・バレエ団のために『追跡』として改作）は重要な作品である。その他の合奏曲には、『2部のインヴェンション』（1987年）、『グレート・ジャーニー』（1981年）、ロンドン・シンフォニエッタによるハダースフィールド音楽祭委嘱作品『対流』（1992年）、サイモン・ラトルが初演し、ザルツブルク音楽祭やプロムスでも再演された『眼鏡越しに……』（1994年）などがある。マシューズの作品は、アウメイダ（1988年）、バス（1990年）、タングルウッド（1988年）、アヴァンティ!（フィンランド、2003年）、ベルリン（2004年）といった主要な音楽祭で特集が組まれている。1998年にはサントリー夏の音楽祭の招聘作曲家として来日し、講師も務めた。

2000年には主要な4作品が初演された。ロンドン・シンフォニエッタのための『2つの捧げ物』、当時太陽系第9惑星とされていた冥王星を扱ったハレ管弦楽団とケント・ナガノのための『冥王星』（グスターヴ・ホルスト『惑星』の補足）、ハダースフィールド合唱協会のための『余韻』、そしてバーミンガム現代音楽集団が委嘱し、シンシア・クラリーとサイモン・ラトルによってヨーロッパ各地で上演されたカンタータ『連続体』である。2001年春にはリチャード・ワトキンスとエサ＝ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団による『ホルン協奏曲』が初演され、同年にはBBC委嘱の『プロムス開幕のためのファンファーレ』も手掛けた。2003年10月初演の『鏡像』は、マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団のために書かれた。

2001年10月からはハレ管弦楽団の提携作曲家として、多数の新作を作曲する傍ら、クロード・ドビュッシーの『前奏曲集』全24曲のオーケストレーションという壮大なプロジェクトにも着手している。また、コンセルトヘボウ管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、バーミンガム市交響楽団、ブリテン財団、ブリテン＝ピアーズ財団、ホルスト財団といった著名な音楽団体の理事も務めている。1983年から1994年にかけてはオールドバラ財団の評議員として、オールドバラ音楽祭やブリテン＝ピアーズ音楽学校の運営に深く関わり、オリヴァー・ナッセンと共にその発展に貢献した。

長年にわたり新音楽振興協会の評議員、1992年から1995年には演奏権協会の総裁を務めるなど、音楽行政においても重要な役割を担った。彼はNMCレコードの設立者であり、エグゼクティヴ・プロデューサーとしてもレーベルを牽引した。さらに、ドイツ・グラモフォン、ヴァージン、コニファー、コリンズ、ブリッジ、BMG、コンティニュアム、メトロノームなど、多くのレーベルで現代音楽の録音をプロデュースしている。ヘンリク・グレツキの『交響曲第3番』のエレクトラ・ノンサッチ盤のプロデュースは、グラミー賞ノミネート、ビルボード誌のチャートインという商業的な成功も収め、大きな話題となった。

1998年にノッティンガム大学から名誉博士号を授与された。現在、王立音楽大学で教鞭を執りながら、王立北部音楽大学の学長を務めるなど、教育者としても若い世代の指導にあたっている。マンチェスター大学の客員フェローにも選ばれている。作曲、音楽学、プロデュース、教育、行政と、その活動は多岐にわたり、現代イギリス音楽界における中心的な存在であり続けている。

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