コンスタンティン・フィップス (初代ノーマンビー侯爵)

初代ノーマンビー侯爵コンスタンティン・ヘンリー・フィップス（1797年 - 1863年）は、イギリスの政治、外交、文筆の世界で名を残した人物です。彼は、ガーター勲章、バス勲章、ロイヤル・ゲルフ勲章といった勲章を授与され、枢密顧問官にも任命されるなど、その功績は高く評価されました。1838年にノーマンビー侯爵に叙される前は、マルグレイヴ伯爵の爵位を継承していました。

生い立ちと初期のキャリア

コンスタンティン・ヘンリー・フィップスは、第3代マルグレイヴ男爵ヘンリー・フィップス（後の初代マルグレイヴ伯爵）の長男として生まれました。父はランカスター公領大臣、外務大臣、海軍大臣を歴任した軍人・政治家であり、叔父もまた軍人でした。ハーロー校を経てケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、在学中にはケンブリッジ・ユニオン・ソサエティの会長を務めました。

1818年、ヨークシャー州スカーブラ選挙区から庶民院議員に選出されましたが、カトリック解放への賛同など、一族の政治方針に異を唱え、1820年に辞職。その後2年間はイタリアで過ごしました。帰国後、1822年から1826年までノーサンプトンシャー州ハイアム・フェラーズ選挙区選出の庶民院議員を務め、政治的なパンフレットや議会での演説で注目を集めました。1826年にはヨークシャー州マルトン選挙区から選出され、1830年まで議員を務め、ジョージ・カニングを支持しました。

また、文筆家としても才能を発揮し、1825年には小説『The English in Italy』や『Matilda』を発表。1828年には『Yes and No』を上梓するなど、作家としても名を知られていました。

貴族院議員と植民地行政

1831年、父の死によりマルグレイヴ伯爵を相続し、貴族院議員となりました。1832年から1834年まではジャマイカ総督として現地に赴任し、植民地行政に携わりました。1834年、第2代メルバーン子爵ウィリアム・ラムの第1次内閣で王璽尚書として入閣し、政界での地位を確立しました。

閣僚としての活躍と外交官時代

1835年に発足した第2次メルバーン内閣では、アイルランド総督に任命され、1838年にはノーマンビー侯爵に叙せられました。1839年には陸軍・植民地大臣、同年8月には内務大臣に転任。植民地大臣時代には、ウィリアム・ホブソンに対し、ニュージーランドの統治に関するイギリス政府の方針を指示しました。

1846年から1852年まではフランス駐箚イギリス特命全権大使としてパリへ、1854年から1858年まではトスカーナ駐箚イギリス特命全権公使としてフィレンツェへ赴任し、外交官としても活躍しました。1857年に出版されたパリ駐在中の日記『A Year of Revolution』は、ルイ・ブランとの間で激しい議論を呼んだことでも知られています。

晩年

公職引退後も、フランスやイタリアの政策について、第3代パーマストン子爵ヘンリー・ジョン・テンプルやウィリアム・グラッドストンと意見を衝突させるなど、政治への関与を続けました。1863年にロンドンで死去し、66歳で生涯を閉じました。爵位は息子のジョージが相続しました。

家族

1818年に初代レイヴェンスワース男爵トマス・リデルの娘マリア・リデルと結婚。息子ジョージは自由党の政治家として活躍し、ノヴァスコシア、クイーンズランド、ニュージーランド、ヴィクトリアの総督を歴任しました。

コンスタンティン・ヘンリー・フィップスは、政治家、外交官、作家として多岐にわたる分野で才能を発揮し、19世紀のイギリス社会に大きな影響を与えた人物として記憶されています。

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