ゴルロス

ゴルロス部とは

ゴルロス（モンゴル語：Горлос、中国語：郭爾羅斯 Guōěrluósī、英語：Gorlos）は、15世紀前期に形成されたモンゴルの一部族です。その遠祖は、 великий チンギス・カンの弟であるジョチ・カサルに遡ります。

歴史

ゴルロス部は、喜峰口外に位置し、京師（北京）まで1897里の距離にありました。東西の距離は450里、南北の距離は660里に及びます。南は盛京辺墻、東は吉林府、西及び北はホルチン部と接していました。

チンギス・カンは弟のジョチ・カサルに命じ、ゴルロス部を征伐させました。ゴルロス部のナリン・カンは20万の兵を率いて迎え撃ちましたが、ケリュー・コブケルにおいて、ハサル・エジェン、コンギラトのオチル・セチェン、オングトのトゥデク・クルゲン、バヤウトのオレイ・アンダらによって生け捕りにされ、ゴルロス部はモンゴルに降伏しました。

ジョチ・カサルから16代後のウバシに至り、その所部の号を「ゴルロス」としました。子のマングオもこれに従いました。

天命9年（1624年）、マングオの子ブムバはホルチン・タイジのオーバとともに後金に遣使して好を乞い、一族を率いて帰順しました。これにより、チャハル部のリンダン・ハーンがホルチンを掠奪した際は、後金が軍を遣わしてゴルロス部を応援するため農安塔に至りました。リンダン・ハーンは遁走し、二度とホルチン部及びゴルロス諸部に侵入しようとはしなくなりました。清朝はゴルロス部にジャサクを二つ設けました。一つはブムバといい、爵はトサラフグン（鎮国公）を授けられました。もう一つはブムバの従弟グムといい、爵はトサラフグンを授けられました。また、ホルチン部とは同祖であることから、これに附いてジェリム盟に隷属しました。旗は二つあり、前旗はグルバンチャハンに駐屯し、後旗は榛子嶺に駐屯しました。爵は三つあり、ジャサク・トサラフグンが一つ、ジャサク・タイジが一つ、附トシェグンが一つでした。

ゴルロス部ではブムバ一旗が前旗となり、吉林に近接していました。嘉慶5年（1800年）、吉林将軍の秀林はゴルロス部をもって墾地して長春理事通判を置くことを上奏し、その租を分徴することを請いましたが、嘉慶帝はこれを斥けました。10代後のハルマシディに至り、光緒9年（1883年）に爵位をそのままにジャサクを削られました。その後、族等のタイジであるバヤスフランを代わってジャサクとしました。光緒13年（1887年）、ふたたび長春庁を昇格させて府としました。このとき旗界内遼黄龍府の旧地に農安県を置き、これに隷属させました。光緒34年（1908年）、また墾地を拡張し、分けて長嶺県を置きました。宣統2年（1910年）、長春府を分けて徳恵県を置きました。ブムバの旗は郡県凡4つを置き、皆吉林に隷属しました。

グム一旗は後旗となり、黒龍江に近く、また東三省鉄路の衝に当たっていました。光緒3年（1877年）、墾地に肇州庁を置き、黒龍江に隷属しました。後にまた分けて肇東経歴を置きました。ゴルロス部は二旗あり、墾地が分かれて吉林、黒龍江二省に隷属しました。前旗には佐領が23あり、後旗には佐領が34ありました。

歴代首長

ジャサク・トシェグン（扎薩克鎮国公）

ブムバ（布木巴）（1648年 - 1654年）…マングオの子
ジャルブ（扎爾布）（1654年 - 1665年）…ブムバの長男
アンダシェンリ（安達什哩）（1665年 - 1702年）…ジャルブの長男
バトゥ（巴図）（1703年 - 1740年）…アンダシェンリの長男
ドルジ（多爾済）（1740年 - 1755年）…バトゥの長男
ソノム・ジャムス（索諾木扎木素）（1755年 - 1759年）…ドルジの長男
シラボディ（錫喇博第）（1759年 - 1777年）…ソノム・ジャムスの長男
グルジャブ（固嚕扎布）（1777年 - 1829年）…シラボディの長男
ヤンザンバラ（楊贊巴拉）（1829年 - 1863年）…グルジャブの子
ガルマシェンディ（噶爾瑪什迪）（1863年 - 1883年、鎮国公：1883年 - 1900年）…ヤンザンバラの次孫
ダムリンジャブ（達木林扎布）（1902年 - ）…ガルマシェンディの子

ジャサク一等タイジ（扎薩克一等台吉）

ビリグンエジル（畢里袞鄂斉爾）（一等台吉：1696年 - 1708年、扎薩克一等台吉：1708年 - 1714年）…ブムバの従孫
チャグン（察袞）（1714年 - 1746年）…ビリグンエジルの次男
ドウガルジャブ（都噶爾札布）（1746年 - 1754年）…チャグンの四男
アラブタン（阿喇布坦）（1755年 - 1795年）…ドウガルジャブの従弟

ジャサク・トサラフグン（扎薩克輔国公）

グム（固穆）（1636年 - 1643年）…ブムバの従弟
サンガルジ（桑噶爾斉）（1648年 - 1650年）…グムの弟
アンガ（昂哈）（1650年 - 1679年）…グムの長男
マンサイ（莽塞）（1679年 - 1687年、輔国公：1687年 - 1719年）…アンガの長男
ノルブ（諾爾布）（輔国公：1719年 - 1727年）…マンサイの長男
ツェワンジャブ（策旺札布）（輔国公：1727年 - 1732年）…ノルブの長男
エルデネ（額勒登額）（輔国公：1732年 - 1757年）…ツェワンジャブの長男
ゴンゲラブタン（恭格喇布坦）（輔国公：1757年 - 1795年、扎薩克輔国公：1795年 - 1798年）…エルデネの長男
チョクウンドルエンクババイ（綽克温都爾恩克巴拜）（1798年 - 1808年）…ゴンゲラブタンの長男
エンクトクトフ（恩克托克托琥）（1808年 - 1822年）…チョクウンドルエンクババイの弟
アルタン・エジル（阿勒坦鄂斉爾）（1822年 - 1870年）…エンクトクトフの長男。
トゥプウルジトゥ（図普烏勒済図）（1870年 - 1897年）… アルタン・エジルの子
ジモトサンペイル（斉莫特散帔勒）（1897年 - ?）…トゥプウルジトゥの孫

ジャサク一等タイジ（扎薩克一等台吉）

バヤスフラン（巴雅斯呼朗）（1883年 - 1894年）…ガルマシェンディと同族。
ルスロンジャブ（勒蘇隆扎布）（1894年 - 1905年）…バヤスフランの子。
ブヤンチュク（布彦楚克）（1905年 - ?）…ルスロンジャブの子。

関連項目

オルドス部
チャハル
ジャライト
ドルベト (オイラト)
ドルベト (モンゴル)
ハラチン
ハルハ
ホルチン
モンゴル

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