ドルベト (モンゴル)

ドルベト部とは

ドルベト（杜爾伯特 Dùěrbótè、Dörbet）は、15世紀前期に形成されたモンゴルの一部族です。遠祖はチンギス・カンの弟ジョチ・カサルに遡ります。オイラトに同名のドルベト部が存在しますが、系統は異なります。

歴史

ドルベト部は、喜峯口外に位置し、京師（北京）から2050里の距離にありました。その領域は東西170里、南北240里に及び、東と北は黒龍江、西はジャライト部、南はゴルロス部、北はソロンなどの藩部に接していました。

ドルベト部には、同名ながら異なる二つの系統が存在します。一つはチョロース（綽羅斯）という姓で、『清史稿』では「鮮囉斯」と記されていますが、これは誤りです。彼らはオイラトのタイジ、ボハンの末裔であり、14の旗を持ち、ウランクムに遊牧し、外ジャサクと称しました。もう一つはボルジギト（博爾済吉特）という姓で、チンギス・カンの弟ジョチ・カサルの末裔であり、喜峯口外で遊牧する内ジャサクでした。

ジョチ・カサルの16代目の子孫であるアイナガ（愛納噶）が、初めてドルベト部と称しました。天命9年（1624年）、アイナガの子アドゥジ（阿都斉）は、ホルチン部タイジのオーバ（奥巴）と共に後金に使者を送り、友好を求めました。これにより、ホルチン部と共に後金に帰属しました。順治5年（1648年）、アドゥジの子セレン（色稜）はジャサクを授かり、ホルチン部と同祖であることから、これに附き、ジェリム盟に属しました。旗は1つで、ドクドル坡に駐屯し、その爵位はジャサク・グサ・ベイセとなりました。

歴代首長

アイナガ（愛納噶）…ジョチ・カサルの15代目子孫ボディダラの8男
アドゥジ（阿都斉）…アイナガの子
ジャサク・グサ・ベイセ
セレン（色稜）（輔国公：1636年 - 1648年、扎薩克固山貝子：1648年 - 1669年）…アドゥジの子
ノルブ（諾爾布）（1670年 - 1671年）…セレンの長男
シャジン（沙津）（1671年 - 1719年）…ノルブの従孫
バトゥ（巴図）（1719年 - 1729年）…シャジンの長男
バンジュル（班珠爾）（1729年 - 1739年）…バトゥの長男
セブテン・ドンロブ（色布騰棟囉布）（1739年 - 1743年）…バンジュルの長男
ダンジュル（丹珠爾）（1744年 - 1754年）…バトゥの次男
ナムジャル・ドルジ（納木扎勒多爾済）（1754年 - 1759年）…ダンジュルの子
ロブザン（羅布彰）（1759年 - 1765年）…ナムジャル・ドルジの叔父
ボディ（博第）（1765年 - 1790年）…ロブザンの弟
サイン・ビリク（賽音畢里克）（1790年 - 1792年）…ボディの長男
ラトナバラ（喇特納巴拉）（1792年 - 1810年）…サイン・ビリクの長男
エチョルフヤクトゥ（鄂綽爾琥雅克図）（1810年 - 1847年）…ラトナバラの弟
ゴンガチョクタン（貢噶綽克坦）（1847年 - 1870年）…エチョルフヤクトゥの子
ゲリクバルジュル（格里克巴勒珠爾）（1870年 - 1871年）…ゴンガチョクタンの子
ラシ・プンスク（喇什朋蘇克）（1871年 - 1897年）…ゲリクバルジュルの子
シェンリエブ・ラオピル（什哷布労丕勒）（1900年 - ）

参考文献

趙爾巽他『清史稿』（列伝三百五 藩部一、表四十九 藩部世表一）

関連項目

オルドス部
ゴルロス
チャハル
ジャライト
ドルベト (オイラト)
ハルハ
ホルチン
* モンゴル

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