サダーシヴ・ラーオ・バーウ

サダーシヴ・ラーオ・バーウの生涯と戦歴

サダーシヴ・ラーオ・バーウ（Sadashiv Rao Bhau）は、1730年8月4日にインドのデカン地方、マラーター王国で生まれました。彼は第6代宰相バーラージー・ヴィシュヴァナートの孫であり、家系は名門でした。軍人としての彼のキャリアは1746年から始まり、その後数多くの戦闘において顕著な功績を上げました。彼はバーウ・サーヒブとも呼ばれ、セーナーパティ（軍総司令官）として知られています。

1746年12月、サダーシヴ・ラーオはプネーを発ち、南インドのカルナータカ地方での最初の遠征に向かいました。1747年1月には、アールジャーでサヴァヌールのナワーブを打ち破り、彼はこの勝利によってクリシュナ川とトゥンガバドラー川の間でチャウタの徴収権を獲得しました。同年4月、ケラディ・ナーヤカ朝の首都であるビダヌールを包囲しましたが、城を陥落させることができず、撤退することとなりました。この遠征により、36のパルガナーを獲得したのです。

1760年1月には、サヴァヌールのナワーブを征服し、さらにキットゥール、バガルコート、バーダーミなど多くの地域を制圧しました。その後、2月3日にはニザーム王国の軍をウドギルで撃退し、年額620万ルピーもの歳入を生み出す土地を手中に収めることに成功しました。彼の戦略と統率力はこの時期に特に際立っていました。

同年の3月、アフガン勢力のドゥッラーニー朝がデリーを占拠したとの情報がプネーに伝わります。この影響で、宰相バーラージー・バージー・ラーオはサダーシヴ・ラーオに北インドへの派遣を命じます。彼は宰相の長子ヴィシュヴァース・ラーオや他の軍団を率いて、アフガン軍との対決に向かいました。このとき、ジャンコージー・ラーオ・シンディアやマルハール・ラーオ・ホールカルなど、他のマラーターの武将たちも軍に加わり、大規模な軍が編成されました。

1761年8月2日、マラーター軍はデリーに入城しました。デリーの占拠に際して、軍は神殿などを略奪し、これによってバラトプル王スーラジュ・マルはマラーター軍への参陣を拒否することとなりました。彼はゲリラ戦を提案したものの、サダーシヴ・ラーオは正面からの戦いに執着し、その提言を却下したことが事態をさらに複雑にしました。

1761年1月14日、第三次パーニーパットの戦いが始まります。最初はマラーター軍が優勢でしたが、アフガン王アフマド・シャー・ドゥッラーニーが反撃を開始し、戦局は逆転します。サダーシヴ・ラーオはこの戦いで戦死し、彼の死はマラーター軍にとって致命的な打撃となりました。この戦いでは、彼の部下のヴィシュヴァース・ラーオも戦死しており、マラーター軍は大混乱に陥ります。戦闘の結果、アフガン軍は圧倒的な勝利を収め、多くの悲劇的な犠牲が生じることとなりました。

サダーシヴ・ラーオ・バーウの功績は、彼の戦歴だけでなく、その指導力においても極めて重要なものでした。彼の生涯は、マラーター王国の歴史における重要な節目を形成し、彼の名は今なお語り継がれています。

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